そばに (ページ38)

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BC side

いつになくルンルンなリノを見て
少しイラッとしたのは事実。

弟相手に大人気ないってことは分かってるつもり。

でも、自分じゃない他の誰かの話を楽しそうにするのは
おもしろくなかった。

リノのついでなら別に欲しくない。

何もなかったように振る舞う君もつまんない。

そんな真っ黒の感情が顔を出してしまった。

リハーサルが終わったら
いくつかのショッパーを持ったAに群がる弟たち。

少し離れたところから見ていると
すっと寄ってきたAに小さな可愛らしい小瓶を渡される。

『あんまり甘いもの得意じゃないって聞いて、
でも飴くらいなら食べれるかなって...
これ喉にもいい飴らしいんですけど、』

呆気に取られてぼーっと受け取った物を見つめる。

いらなかったら私が食べるので！
と伸びてきた手をかわす。

BC「ありがとう。」

ほっとしたように笑う君は
"自分だけ"これを貰ったことに喜んでるなんてこと
知らないんだろうな。

BC「どこにあるの？どんなお店？」

ここはー...とお店の話を楽しそうにする。

ほんとは場所を聞いたって分からないし、
お店だってそんなに興味はないけど
嬉しそうに君が話してくれるから。

その横顔が今は俺だけのものってことが
どうしようもなく嬉しい。

SM「あ、それ何ですか？ヒョン。」

Aの話を聞いていると近づいてきたスンミンが
目ざとく俺の手の中にある小さな物に気づく。

BC「いいでしょ？Aがくれたんだ、ね？」

SM「いいな〜」

別にこいつのいつもの癖でじっと見てくるだけなのに
それに慣れないAは自分のバッグから
もうひとつ、俺にくれたものと同じものを差し出す。

『これ、どうぞ。』

SM「いいの？Aのじゃないの？」

自分からねだっておいて、図々しい奴。

BC「ヤー、スンミナ。それはAのなんだから、」

SM「じゃあヒョンの1個ちょうだいよ。」

まだ1個も食べてないのに、とか
俺がもらったのに、とか
弟なんだから、とか
いろんな感情が行き交うけどため息と共に静かに1つ手渡すと
ありがとう、と満足気に去っていく子犬。

それを見つめながら1つ口に放り込むと
手の中の瓶にひとつ入れられる飴。

『減ったらまた買ってきますよ、笑』

手の中の小瓶が宝物のように思えて
きゅっと握らずにはいられなかった。