検索窓
今日:31 hit、昨日:194 hit、合計:52,678 hit

33 ページ34

BC side



カムバの準備に忙しいのはメンバーだけじゃなくて
もちろんスタッフもで。

カムバを終えたら2ヶ月後には日本でのライブもある。

それらの準備と同時並行にやっていくのが
正直心身ともにこたえるわけで。



メンバーたちが休憩中騒ぐ中、
練習室の端っこに座っていると自分に誰かの影がかかる。

誰かなんて見なくてもわかる。

あの子の柔らかい香り。

『これどうぞ。』

みんなに配ってきただろう水を手渡される。

受け取ってからすぐに反対の手で
Aが水を持っていた手を掴む。

BC「手冷たくなってるね、」

そんなのただの口実。

ただ、君を近くに感じたかっただけ。

それだけで、時々この騒々しくて人ごとみたいな毎日が
少し身近で少し楽に感じる。


『もともと冷え性なので、』

そう言って手の中からあっけなく逃げていく。


少し疲れたり気持ちが落ちると
弟たちは変化に気づいてあまり近寄ってこない。

それがありがたくもあり、寂しくもある。


パタパタと離れて行ったはずなのに
またその軽い足音が戻ってきた。

疑問に思って見上げると
少し困った顔で笑いながら目の前にしゃがむA。

BC「ん?どうしたの?」

『これも、食べてください。疲れてる時には甘いものが1番です。』

そう言って綺麗な紙に包まれた一粒のチョコレートを
手のひらに乗せられる。

『でも、最後の一つだから他の人たちにはなくて...
内緒ですよ?』

真剣にそう言う君は、俺たちのことをいくつだと
思ってるんだろうか。君が1番年下だというのに。

BC「うん、約束」

もう一度その手に触れたくて小指を差し出すと
意外にも素直に絡まる君の小指。

切れないようにちゃんと親指でスタンプを押してから
少しだけ乱れたAの前髪に触れて直す。

そうすると我に帰ったように
ぱっと逃げていくから自然に笑みがやってくる。



本当は甘いものは少し苦手だけど
Aがくれた大切なチョコレートだから口に放り込み、
喉に張り付く甘ったるさを水で流し込んだ。

それでも、久しぶりに食べたチョコレートは
優しい味がした。

34→←32



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (96 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
443人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yuri(プロフ) - この作品が大好きです!更新待ってます🫶🏻 (4月25日 19時) (レス) @page39 id: 1890c5fb44 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2024年2月5日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。