そばに (ページ32)

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BC side

何を考えてるかわからないけど、
明らかに考えすぎてなかなか言葉にできないAを
待ってあげなきゃ、とも思うし、
これ以上待ってもきっとまた避けられるだけだろうな、
とも思う。

そんな思いから、さっき謝ったばかりなのに
ぐっと距離を詰めて離さないようにする。

するりとこの腕の中から抜け出していかないように。

『サナちゃんが、』

ずっと黙っていたAが消えそうな声で話し出すから
必死に拾う。

BC「ん？サナが？」

『サナちゃんのこと、好きじゃないんですか？』

BC「うん、好きだよ。」

また黙り込むAに続ける。

BC「幼かった時から一緒に頑張ってきた仲間だし、
今はこの会社での家族だから。それが？」

『サナちゃんの妹だから、良くしてくれてるのはありがたいです。でも、そんな気を遣ってもらわなくても大丈夫です。』

BC「確かに、サナの妹だから気にかけてあげなきゃとは
思ってたけど、」

『その...寝言でもサナって、』

BC「寝言？ああサナに連絡しなきゃって思ってたからかな」

Aはきっと、俺がサナを恋愛的な意味で好きだと
勘違いしてたんだろう。

自分ばかり、と思ってたのに
ああ、こんなにもちゃんと俺をみてくれてたんだって
幸せで胸がきゅっとする。

BC「A？」

腕を解いて向き合って顔を覗き込もうとすると
君はさらにぐっと下を向いて自分のつま先を見つめる。

君の行動の全てが愛おしい。

両手で柔らかい頬を包んで顔を上げさせると
うるうるとした目に真っ赤な顔。

BC「ふふ、真っ赤。かわいい。」

弟たちにもよくしてしまう自分の癖も相まって
目の前にあるおでこに唇を近づける。

BC「まあ、今はいいよ。けどあんまり気が長い方でも
ないから、それだけは覚えといてね？」

君が近づいてきてくれるのをもう少しだけ待つよ。

その代わり、遠慮はしないし逃すつもりもない。

固まるAの荷物を持って
顔が赤いままのAを残して練習室へ戻った。