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BC side

少し落ち着いただろうか。

どのくらいの時間が経ったか分からないけど
腕の中のAがごそっと動いた。

『オッパ...?』

落ち着いたら離してあげようと思ってたけど、やめた。

BC「A、オッパとちょっと話そうか。」

まだぼーっとしているAをぐっと胸に抱き込んで
話を続ける。

BC「Aは、小さい頃どんな子だった?
アメリカにいたんでしょ?」

沈黙が続くけど焦らず言葉を待つ。

『...行きたくて行ったわけじゃなくて、』

BC「うん」

『生まれてすぐに心臓の病気が見つかって、心臓移植が必要だったからアメリカに...』

BC「もう病気は大丈夫なの?
だからサナとはあんまり一緒に暮らしたことないんだ?」

『...心臓移植して13歳で日本に帰って
大阪の実家にいたんですけど、
それまで一緒にいたことがなかったから居心地が悪くて。』

きっとこの子は頭の中でぐるぐる考えちゃうんだろうな。

『15歳で東京に出ました。』

BC「ご両親とは連絡とってるの?」

『...時々、』

それまでの日常がガラッと変わって
適応するだけでも大変なことなのに
自分の思いをしっかり伝えれないストレスは
どのくらい辛いか想像がつく。

俺も単身で韓国に来た時そうだったから。

BC「そっかそっか、それだけでも親孝行だね。」

そう言うとぱっと大きな目がこちらを向く。

BC「ん?」

『いえ...』

BC「それで?大学休んでるのはどうしたの?」

Aが弱っているのを逆手にとって
一気に距離を縮める。

だけど一向に答えは返ってこなくて。

BC「A?ごめん、困らせたいわけじゃなくて、
日に日に元気なくなってくのが心配で。眠れてないの?」

少しの沈黙の後ゆっくり言葉が紡がれる。

『日本に帰ってきてから、本当に大切だった友達ができたんです。18歳で白血病になって治療して良くなったんですけど、20歳でまた再発して。...もう治療はせずに残りの人生を楽しみたいって言うから私も休学して旅行に行ったりしてました。』

だけど今Aは韓国にいる。
それがどう意味するかは、もう分かる。

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yuri(プロフ) - この作品が大好きです!更新待ってます🫶🏻 (4月25日 19時) (レス) @page39 id: 1890c5fb44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月5日 22時

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