そばに (ページ17)

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Aside

レコーディングが始まると
一気に空気感が変わるのかと思いきや、
時々冗談を言い合って楽しそうに進んでいく。

メインでプロデュースするのが
バンチャンさん、チャンビンさん、ハンさんと
変わっていき、自分のプロデュースが終わると
後ろのソファに座っている私の隣に腰掛ける。

CB「ヤー、A。オッパはうまいだろ？」

いつもの調子で笑いながら隣に座るチャンビンさん。

『チャンビンさんの声は、大太鼓みたいですね。』

HN「大太鼓？」

『韓国にもあるかもしれないですけど...
本当にすごく大きな太鼓で、叩くと心臓に響くんです。』

CB「うるさいってことか？笑」

『そうじゃなくて、笑
太鼓も叩きかたと場所で音が違うじゃないですか？
色んな響きがあって素敵だなって。』

しーん、となった空気に間違ったこと言っちゃったのかな、
とちょっと俯くとわしゃわしゃと頭を撫でられる。

CB「Aはあいくるしいな〜！笑」

違ったようで一安心する。

BC「俺もうるさいって意味かと思った、笑」

くるっと椅子ごと振り返って笑うバンチャンさんが
こちらに歩いてきて少し乱れた髪を撫で付けてくれる。

BC「ほら、次大太鼓の番だよ。」

HN「ぷっ。パダコキリの次は大太鼓？笑」

CB「ヤーハナ。俺の美声をAに聞かせてやらなきゃ。」

わざとらしく大きな咳払いをしながら
ルンルンで防音室内へ入って行くチャンビンさんを見届ける。

BC「ほらね、Aが来てくれて良かった。」

否定する言葉を発する前に
今度は何のお菓子もらったの？と
話をすり替えられた。

意外と策士なんだ、と思いながら
その言葉に甘えてもらったお菓子を見せると視線を感じる。

『えっと、何ですか...？』

BC「んーん？ちょっと慣れてくれて良かった。」

優しそうに笑ったかと思うと、

BC「Aと仲良くなるにはお菓子があればいいってことね。」

といたずらっ子のように歌詞が書いてある紙の隅っこに
"과자"と独特な字のハングルを書く。

その横顔から、しばらく目を離せなかった。