たまにはいいじゃん。 (ページ13)

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池崎「おれ、他のメンバーに報告しないとだから、

外出ますね。」

高塚「よろしくね。」

とめどなく涙が溢れてきた。

一度溢れ出した涙は、もう自分の力では止められなかった。

どんなに辛かったのだろう。

体にムチを打ってでも仕事に出て、

みんなに心配させまいと必死に活動して、

アンチにも耐え抜いて。頑張って、頑張って。

辛くても、苦しくてもステージに登ってきた。

目を逸らさなかった。

それに比べて、俺はどうだ。

変化していく姿を見ていたのに、何もできなかった。

怖かった。

そんな臆病な自分が嫌で、嫌いで、とてもじゃないけど

あの空間に耐えられなかった。

高塚「···ん？あ、理人！おかえり〜。」

池崎「体、マシになりました？」

高塚「うん。立つくらいは平気だよ。

それよりも理人、そんなに涙目になっちゃって」

池崎「大夢くんの姿を見て見ぬふりした、臆病な自分がいて。

なにもできなかった自分を責めていたから···」

高塚「理人は、ちゃんと俺の心の支えになってくれていたよ。

どれだけ辛くても、理人が隣りにいるからって

頑張ってこられた。

それに、臆病な子はね、俺を迎えになんて来れないんだよ。

俺だって行けないもん。メンバーの変わり果てた姿を

見に行くことなんて。

だからね。もっと自信を持っていいんだよ。」

大夢くんは、やっぱりすごい。

この人は、人の心を破る術を知ってるんだ。

それを使って、今おれの心を救ってくれた。

―――今度は俺が必ず救います。

だから、もう少しだけ待っててくださいね。