理解不可能な僕の君-cn.in- (ページ48)

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◆名前はページ48

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お互いの手をぎゅっと強く握ったまま中に入ると
きゃっきゃと遊ぶ子供たちの中で一人、木の机でお絵描きをしてる男の子が目に入る。

何やら歌を口ずさんでいて、1人だけど楽しそう。

侑「こんちには。君の名前は？」

「ひかる！」

侑「ひかるくん？みんなと遊ばないの？」

「ん、僕ね、今よしこ先生にあげる絵を描いてるの。もうすぐ80さいのおたんじょうびなんだよ」

この子はどう？という意味を込めて慧の顔を見ると慧は笑顔で大きく頷いた。

さっそく僕達は、養子縁組の話を施設の管理人さんにしに行った。

「あの子は光と言います。5歳です。旅行中に両親を亡くし親戚なども見つからなかったので引き取りました。とても思いやりがある優しくていい子ですよ」

侑「そうでしたか…僕は医者をしていて忙しいのですが慧…うちのは専業主婦ですし寂しい思いはさせません。光くんの事を大切に育てますのでお願いします」

そして管理人さんに名前を呼ばれてとてと走ってきた光は小さく何かを言われ
僕たちの事を不思議そうに見上げた。

慧と2人、しゃがんで目線を合わせると
にこりと嬉しそうに笑った光。

光「僕、新しいパパとママのとこ行くー」

「だ、そうです。ぜひとも光の事をよろしくお願いします」

侑「はい、こちらこそ」

慧が光の頭を撫でているのを横目に机に移動し、何やら小さな字で色々書かれた難しい契約書に何枚かサインをした。

「よろしくお願いします。…光、いい子にね」

光「うん！」

光を真ん中に手を繋ぎ、施設をあとにする。

慧「シートベルトしようね」

光「はーい」

僕は、新しい門出に向かってさっきよりもゆっくりと車を走らせた。