理解不可能な僕の君-cn.in- (ページ29)

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〇風邪ページ29

・in

慧「…ごほっごほっ、」

あれは去年のいつぐらいだったかな。

その日朝からなんだか体調がよくなくて
こんな時期に風邪かと首をかしげながら、学校へ行った。

大「はよ！…って何か顔色悪くね？」

慧「ん、風邪ひいたみたい…」

きっとただの風邪だなんて言いながら家にある薬を飲んで過ごして3週間
治るというよりかは少しずつひどくなりだんだん呼吸がしにくくなっていった。

大「いのちゃん絶対おかしいって。病院行きなよ」

慧「ん…だって学校、ごほっ…休みたくないんだもん」

大事な最後の1年だった。
その時の俺にとっては。

けど、話をするにも咳をしながら何とか話す感じで苦しくなかったわけじゃない。

そして１ヶ月経った頃、突然視界が暗転するように暗くなりがくんと足の力が抜けた。

涼「おい！伊野尾ちゃん！伊野尾ちゃん！！！」

目が覚めたらそこはもう、病院だった。

母親からしばらく入院になると聞かされた時本当は
地面の底が抜け落ちて足元から奈落に落ちていくような気持ちだったよ。

絶望っていうのかな。

だって入院って、家に帰りたい人間にとっては牢獄に閉じ込められたみたいなもんだよ

帰りたい。普通の生活が送りたい。前に戻りたい。…そんな風に何度考えて

慧「…も、やだよぉ…俺…っ、」

何度涙を流したか分からない。だけど乗り越えようと思えたのは

生きたい。その一心だった。

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