となりのおうちのお兄ちゃん-ar.in-

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周りにたくさんの人がいるのに
いのちゃんは
そっとその両腕に俺を包んでくれてた。






慧｢周りの人に、大ちゃんの涙見られちゃう｣






やっぱりいのちゃんは俺よりもずっと大人だ。
このたかが1年、されど1年は埋まることはないのかもしれない。






大｢ごめ…笑顔で…行ってらっしゃいする、って決めてたのにっ…｣

慧｢大丈夫大丈夫、ありがとうね｣






そう言って笑ったけど、いのちゃんの声は小刻みに震えてる気がした。






その時、シューと音を立て
無情にもホームへとやってきた新幹線






慧｢っ、毎日連絡するよ。FaceTimeもしよ｣

大｢い…、｣







名残惜しそうに振り向きながらキャリーを引いていくいのちゃんに

本当は言いたかった゛行かないで゛を飲み込むのが
どれほど苦しくて辛かったか






きっといのちゃんは、知らない。






大｢、ってらっしゃい！｣






こくん、と強く頷いたいのちゃんが







プシューと閉まってく扉の向こうで、

お互いの声を遮断されてしまった向こう側で、






ボロボロと涙をこぼし






精一杯笑顔を作って手を振った気持ちも







大｢っ、行くなよ…いのちゃん…っ、｣







俺はぜんぜん、知らないんだ。

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