��one day ページ14
・
階段を思い切り駆け下りる。
大太鼓の演奏のような激しい鼓動
はぁはぁと息を切らせて
やっとたどり着いた2階の
その廊下を息を止めて思い切り走った。
私ここだ、小さくそう言った咲は慌てて扉を開けて中へと消えた。
えっ？もう？やばい。
ここから1人っきり、どこまで？
怖い、見つかる。早く行かなきゃ。
私は豹のごとく駆け抜けた。
聞いていた部屋番号の扉の前まで、一気に駆け抜けた。
見つけた瞬間、ガチャリと慌てて扉を開けた。
…飛び込むように中に入った瞬間に後ろからぎゅっと覆われた口元
あ「っ…」
電気が消えた暗い部屋の中はまだよく見えなかったけど
「Aしっ」
吐息だけのひそひそ声で名前を呼ぶ大貴と
その温もりにホッと胸を撫で下ろした。
やっと会えた。
ずっとここで待っててくれてたんだ、って。
近くにいるのに遠かったせいか
しばらく離れていたせいか
全速力でたくさん走ったせいか
私の心臓はまだドクンドクンと波打ってる。
そしてずっと口から離してくれない手も
もう一つの手で私を捕まえる手も
後ろから私を覆う体も
…いつもより力強くて
その鼓動が静まる事はなかった。
きっと抱きしめられた腕から鼓動はとっくに伝わってる。
私はそこにそうやって立ち尽くしたまま
回された手にしがみつくようにその温もりに身体を預けた。
大貴の顔を見る事もできないまましばらく。
早く触れたい、触れてほしいその気持ちに胸を焦がし続けた。
そして、一つ感じたのは、何だろう。
＿＿＿＿違和感。
だって何だか手が…。手が大きい気がする。
心臓の鼓動は、形を変えた。
私は預けていた体を立て直し
思い切りバタバタともがいて、その手を振りほどき
やっとやっと、振り向いた。
あ「…っ！！」
そこに人差し指で頭をポリ、としながら
ゆらりと立っていたのは
なぜだか優しい笑顔の、慧だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃぴ - なるほど。理解力なさすぎてすいません。 (2018年4月17日 7時) (
レス) id: 5a53f9baf1 (このIDを非表示/違反報告)
ありぱん(プロフ) - ちゃぴさん» 分かりづらくてすみません。好きというか、結婚してしまう事で遠くに行っちゃうような寂しい気持ちになったんです。圭人は隣にいたので、泣いてるのが見えたんですよー (2018年4月16日 18時) (レス) id: 45ce99767c (このIDを非表示/違反報告)
ちゃぴ - 伊野ちゃんって櫻井くんのことが好きな設定でしたっけ？忘れてたらすいません。なんで圭人だけ知ってるんでしたっけ？よかったら教えていただきたいです。 (2018年4月16日 18時) (レス) id: 5a53f9baf1 (このIDを非表示/違反報告)
ありぱん(プロフ) - さぼすけさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです〜！！はいっ頑張るので応援しててください☆ (2017年2月24日 13時) (レス) id: 561a6df49c (このIDを非表示/違反報告)
さぼすけ(プロフ) - 続編ありがとうございます！どれもとても良いお話でした！これからも応援しています！！ (2017年2月23日 22時) (レス) id: dc2a5a6a75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ありぱん
| 作成日時：2017年1月23日 9時
