この、恋の行方を知りたいですか？HorY (ページ50)

今日:13 hit、昨日:2 hit、合計:16,464 hit

49、涙は言えなかった言葉ページ50

・

時が止まるわけない。
ポケットでスマホが震えた瞬間、びくんと驚いた私は
中島くんの腕を振りほどいて走り去った。

机の上
まとめて置いたポスターの１番上に目を通す。
紙の端っこに小さな文字が書かれていた。

＂A久しぶり。元気？
俺ずっと柔道習ってんだ。
色々変えるため生徒会長にも立候補する。
今の俺ならきっとAを守れる。
だから俺についてきて＂

あ「…っ、」

ついていきたい。
止まらない涙は、光の時とは違う温かい涙だった。

中島くんの元へ行きたくてポスターを手にし椅子を引こうとした時
椅子が何かにぶつかって下がれない。

…背筋が冷たく冷えていく。

光「こそこそと何やってんのお前」

ポスターだけは守ろうと胸に両手で抱えた時、思いきり引かれた腕
またガンと机に体がぶつかる。

強引に連れ出された廊下で、壁と光の間に挟まれた私は
唇を噛み締めて目線を地面に落とした。

光「中島来たら嫌いって叫んでポスター丸めて捨てろ」

そう言って手を引かれ連れて行かれた場所は、中島くんのクラス。
光が手招きして出てきた中島くんに向かって、私は言う通りにした。

クシャと丸まったポスターは、中島くんの胸辺りにぽこんと当たり
中島くんはそれを拾いながら私に悲しそうな顔を向けた。

そっと開いたポスター
自分が私に渡したものだと確認をして…
ハッと目を見開いた。

裕「A！」

中島くんは私の方へと近づいて、光を引き剥がすと軽く転ばせて
私をきゅっと抱きしめた。

裕「嘘つくなって！これ読んで泣いたでしょ？めっちゃ滲んでる」

優しく頭に弾んだ手のひらの温もりに
私の涙はまた、温かく頬を伝った。

光「おいお前らぁ！」

ドスを聞かせて立ち上がり向かってくる光を中島くんは背負い投げ。

一瞬でひっくり返った光の顔を上から覗き込むと寸止めパンチを繰り出した。

裕「Aは俺がもらう。栞ちゃんにも何かしたら許さないから」

そして、私に向き直った中島くんは、右手をスっと差し出した。

裕「A、大事にするから付き合って」

あ「…はいっ」

差し出された手を握ったあの日から中島くんは
私に優しさを、笑顔を、温もりを

そしていっぱいの愛情をくれる。

恋をしてよかった。
だって今、こんなにも幸せ。

この恋の行方は…。

生徒会室に内緒で2人

裕翔はふわりと微笑んで私に甘く深く口づけた。

＿＿＿fin.