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直後、兵士たちがどよめき一斉に動き出す。
「……っ、賢者を捕まえろ!あれ?いない?どこに行った!?」
「馬鹿!お前の後ろだ!」
「いつの間に!?逃がすものか……!」
するとその時、踊り場の窓から、白い煙が漂ってきた。
甘い匂いがする。たまに硝子先生の部屋から香る匂いに似ているような……
ふと、今まで無かった人の気配に顔を上げる。
すると、先程にはいなかったはずの窓辺に男の人が優雅に腰掛けていた。
?「こんばんは」
ヒース「シャイロック!」
?「いけない人。カインと二人で無茶をして……。空を飛ぶのもやっとだったでしょう」
ヒース「だって、ファウスト先生が……」
そう、ヒースクリフサンが顔を歪めながら゙ファウスト先生゙という言葉を出すとシャイロックサンはふわっと微笑んだ。
?「分かっていますよ。後は、私たちに任せなさい」
青ざめたヒースクリフサンの頬を撫でて、シャイロックと呼ばれた人はヒースクリフさんの肩越しに私へと微笑みかけた。
シャイロック「はじめまして、賢者様。私は西の国の魔法使い、シャイロック」
『…………はじめまして……?』
シャイロックさんは、上品に笑ってパイプを口に咥える。
「ま、魔法使いがまた増えた!」
「ひ、怯むな!<大いなる厄災>との戦いで、力を使い切っているはずだ……!」
そんな事を兵士たちが言っている中、シャイロックサンは何も言わずにふう、とパイプの煙を吐き出した。
すると、白い煙がふわふわと漂い、甘い香りを部屋中に広げていく。
思い出した。この香り、硝子先生が前の日の夜に飲んだワインの残り香に似てるんだ。
その煙が部屋中へと広がっていくと、兵士たちは酔っ払ったように急に千鳥足になっていく。
「ふふ……。あれれ……?何か楽しくなってきたぞ……」
「へへ……。暖かそうなベッドだ……。もう寝ちゃおう……」
あっという間に、兵士たちはご機嫌な顔をしながら、バタバタと床に倒れていく。
高く足を組み直して、シャイロックサンはパイプから唇を離した。
シャイロック「いい夢を」
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雪 - 応援してます (5月3日 18時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
米麹かもしれない(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!不定期ですが良ければ応援してやってください……! (3月17日 22時) (レス) @page16 id: 889d48e298 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみにしてます (3月15日 23時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:米麹かもしれない | 作成日時:2024年3月9日 22時