猛毒の少女、壊れかけの世界へ【まほやく】 (ページ9)

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さて、どうしようかな……と考えていると、ヒースクリフさんが胸元の前に右手を翳す。

手が淡い光を帯びていき、いつの間にかその中にはﾞ懐中時計ﾞが握られていた。 

どこから出したのか分からないが、恐らくこれこそ〝魔法〟なんだろう。

すると、懐中時計を握りしめて目を瞑った。

ヒース｢《レプセヴァイヴルプ・スノス》｣

呪文……！魔法使いっぽい！

ヒースクリフさんが呪文を唱えた瞬間、兵士たちがピタりと動きを止めた。

棘先輩の呪言で【動くな】された時みたい……

唱えてすぐ、ヒースクリフさんは苦しそうに膝をついた。

ヒース｢……っ｣

『大丈夫ですか……！？』

ヒース｢……大丈夫です。急ぎましょう。すぐに魔法は解けてしまう。 急がなきゃ、ファウスト先生が……｣ 

とりあえずヒースクリフさんに肩を貸して階段を降りつつ、これからどうすべきかを考える。

兵士たちや大臣に着いていくことはまず無いけれど、かといって魔法使いに信を置けるかも分からない。

でも、さっきのヒースクリフさんの口調からして、死にかけのお仲間さんがいるはず……

反転術式なんて私まぐれで１回成功させたくらいだよ……？賢者みんな使えるの？

途中からしょうもないことを考えていると、カインさんが駆け寄ってきた。

カイン｢ヒース、無事か！？｣

ヒース｢……っ大丈夫！｣
｢賢者様、こちらへ｣ 

ヒースクリフさんに先導されて階段を駆け下りる。

もう少しで兵士たちを抜けられると思ったその時、視界の端で兵士の指がピクリと動いた。

『ぁ……』

ヒース｢……っ、魔法が解ける……！｣