第五話 賢者と魔法 ページ8
乱闘から逃げ出すように、ヒースクリフさんに引かれながら薄暗い階段へと向かう。
『ねえ、大丈夫……ですか?』
階段の中間でヒースクリフさんが振り返る。
ヒースクリフさんの顔色は酷く悪かった。
よく見ると階上で戦っているカインさんも息が上がって疲れている。
『顔色が悪いし……カインさん?もあんまり本調子じゃないみたいだし
……え、ちょっ…!』
ヒースクリフさんの体がグラリと揺れて倒れそうになる。
マズい……ここで倒れたら下まで落ちる
万が一にも素肌が触れないよう、気を遣いながら慌てて彼の背を支えると、彼は額を抑えながら苦しげに肩で息をした。
ヒース「……すみません……もう、ほとんど…魔力が残ってないんです......〈大いなる厄災〉との戦いを終えたばかりで………カインだって、 限界……」
辛そうだし、魔力が呪力と同じようなものだとしたら相当危ない状況な筈……
『……か、肩……』
肩貸しましょうか、と言おうとすれば、階段の上から聞こえる、逃がすな!捕まえろ!の声。
たぶん下にも居て挟み撃ちルートかな……
そんなことを思っていたら、ヒースクリフさんはよろめきながらもそっと私の手を取り、階段を下りようとしていた。
『ぁ……待って、下にも』
すぐに目の前は人でいっぱいになって、上にいた人が言う
「挟み撃ちだ!これなら逃げられないだろう!」
隣にいるヒースクリフさんを見れば、やはりずっと顔色が悪い。
武器を振り回す訳にもいかないし、体術でどうにか出来る人数でも無いし、毒なんて使った瞬間にこの世界で行き場が無くなる可能性が高い。
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雪 - 応援してます (5月3日 18時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
米麹かもしれない(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!不定期ですが良ければ応援してやってください……! (3月17日 22時) (レス) @page16 id: 889d48e298 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみにしてます (3月15日 23時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:米麹かもしれない | 作成日時:2024年3月9日 22時