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ムル「__世界救済。あなたにその手伝いをして欲しいのです。」
【魔法使い】【賢者】【世界救済】
どこぞのファンタジー小説で目にする言葉の数々に頭が回らない。
ただ、渋谷事変の真っ只中、戦いの最中に気絶させられたということは十中八九死んでいるだろう。
そうであった場合、どうせここから抜け出して渋谷へ戻ろうとも戻れないのがオチ。
対して、新たな世界で生活する上での支障は何がある?
服の替えは?
重ね着してきたから1枚ずつ使い回せば良いだろう。
食器は?
呪具に紛れてカトラリーが入っていたのを事変の序盤に確認した。
ベッドが溶けるのでは?
寝返りを打たない限り大丈夫だ。
『……ねぇ、魔法使いさん。あっちでマトモに生きられなかった私が、世界を救うだなんて本気で出来ると思ってる?』
ムル「ええ。少なくとも私はそう思っていますよ」
『…………そっか。じゃあ、あなたのその信頼に報いてあげる。努力するよ、約束する』
ムル「……約束だなんて。そんなこと、しても良いのですか?」
『ええ。私にとってもあなたにとっても、厄介な呪いだけれど』
ムル「呪い……言い得て妙だ。さあ、もうすぐたどり着きますよ。世界も私も、随分とめちゃくちゃになってしまいましたけど」
ムル「貴女はきっと、私に失望なさるでしょう。それでも、貴女と友人になれたなら、私はとても嬉しい」
『…………友人、か。もう一度、会った時に、あなたが私に失望してなかったなら、あなたが友人になりたいと思っていたなら、きっとなれるよ』
そういうと、ムルは一瞬目を見開き、少しだけ笑みを深めた。
言を返すことなく、ムルは話を進める
ムル「幼く聡明な賢者様、貴女にお会い出来る時を長い間待ち焦がれておりました。本音を言えば、世界はどうでもいいのです。人助けは面倒ですからね」
ムル「ただ……この世界の真実を、貴女に見つけて欲しい」
エレベーターが目的地への到着を告げると同時にムルは消えた。
無意識に伸ばしていた腕は空を掴み、居心地が悪くなって下げる。
レトロな内装に相応しく、ゆったりと扉が開く。
目の前には大勢の人。
その真ん中にいた恰幅の良い髭の生えた男性が不意に大声を出す。
髭の男「賢者様がいらっしゃったぞ!魔法使いどもが召喚に成功した!」
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雪 - 応援してます (5月3日 18時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
米麹かもしれない(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!不定期ですが良ければ応援してやってください……! (3月17日 22時) (レス) @page16 id: 889d48e298 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみにしてます (3月15日 23時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:米麹かもしれない | 作成日時:2024年3月9日 22時