猛毒の少女、壊れかけの世界へ【まほやく】 (ページ17)

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第六話賢者と蘇生ページ17

ムル｢とうちゃーっく！｣

驚異的な荒さの運転……というか操縦？

パンダ先輩に投げられた日々が無ければきっと吐いてた

ムル｢あれ、賢者様？？？｣

シャイロック｢おや、賢者様。目を回しておられます？｣

『 ……だ、だいじょぶ……です』

ウソ。全然だいじょばない。

カイン｢ムルが乱暴な飛びかたをするから……さ、賢者様お手をどうぞ。あちらへ！｣

ヒース｢ファウスト先生……！｣

カインさんが扉を開けると、寝台(ベッド)の上に横たわる男の人を大勢の人が囲んでいる。

【ファウスト先生】

きっと、ヒースさんが言っていたその人だ。

ファウストさんの顔は真っ白で、あまりに生気が無く、いつかの虎杖くんを彷彿とさせる。

その体からはシュウシュウと白い煙が上がって、時折火花が散っていた。

？｢賢者か！｣
？｢賢者がやってきた！｣

似た容姿をした子供2人の言葉で思考の海から引きずり出される

…………ん？なんか、片方……

違和感を正しく認識できないまま、場の全員の注目が集まる。

？｢……間に合ったか｣

安心したように目を細める長髪の人

先程まで異常に冷たかった瞳が若干の温度を持つ。

シャイロック｢ファウストの容態は？まだ生きてます？｣

ファウスト｢……生憎な｣

シャイロック｢良かった。〈大いなる厄災〉との戦いで犠牲になった魔法使いはちょうど10人。｣

｢11人では、キリが悪いと思っていたところですよ、ファウスト｣

ヒース｢先生！ファウスト先生……！！｣

ヒースクリフさんが寝台にしがみつくいてファウストさんを覗き込む。

するとファウストさんは薄く目を開けた。

ファウスト｢……ヒースクリフ｣

ヒース｢もう大丈夫です！賢者様が来てくださいました！賢者様が助けてくださいます！｣

ファウスト｢……おまえに、怪我は？｣

ヒース｢……！ありません…………｣

ファウスト｢……そう。良かっ＿＿＿｣

ファウストさんの口は、笑みを作りかけた。

でも、その形を浮かべる前にファウストさんの動きが緩やかに止まる。

知ってる、その動き

ヒースクリフの手を取ろうとしたその手が、その途中でぱたりと寝台に落ちる。

瞼を上げたまま、瞳を開いたまま、ファウストさんは動かなくなった。

ヒース｢先生……！死なないで！｣

？｢いかん、息をしとらんぞ！｣

？｢賢者、急ぐのじゃ！｣