猛毒の少女、壊れかけの世界へ【まほやく】 (ページ13)

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ぱっと、ヒースクリフさんが笑みを浮かべる。

ヒース｢ありがとうございます、賢者様……！｣

反転術式を成功させた時の感覚を頑張って思い出していると、後ろから大声が聞こえてきた

ドラモンド｢待て！魔法使いどもめ！賢者を渡しはせんぞ……！｣

｢賢者様！騙されてはいけません！魔法使いは、いい加減で、嘘つきです！ 躊躇いもなく人を騙すし、不思議な力で、心を操ります！魔法使いを信じてはいけません！｣ 

なんだろう。こういう人、近くにいた気がする。

そうだ、父様だ。

人の話も聞かず、自分の都合のいいように世界が動くと思っている、腐った人。

3人の方を見やると、カインさんやヒースクリフさんは顔を顰めていた。

シャイロックさんは小首をかしげてパイプをくゆらせながら笑っていたけれど。

ドラモンド｢賢者様は私たちの言うことを聞けばいいのです！賢者様のために言ってるんですよ！｣ 

【｢お前は私の言うことだけを聞いておけ。せいぜい、この家の役にくらい立て忌み物が｣】

ホントそっくり。

『大臣さん、あなたスゴく父様に似てる』

ドラモンド｢は？｣

『もし私が現在進行形であなたに嘘をついていたら？私が魔法を使える人間だったら？あなたのその言葉は私への侮辱でしょ？』

ドラモンド｢い、いえそんな！だって賢者様は魔法が｣

『使えないって、本当に言い切れるの？』

ドラモンドが押し黙る。

ほら、見たことか。やっぱり父様に似てる。

『私はあなたの部下じゃない。あなたの言うことなんて絶対に聞かない。私はあなたの嫌う魔法使いを信じるよ。彼らの言葉に嘘は無かったと、思ったから』

どう？悔しいでしょう？

言葉の外にそんな本音を隠して、私は3人の近くへ寄る。

すると、酷く驚いたような声でカインさんとヒースクリフさんが言う

カイン｢本当に！？｣   

ヒース｢良いんですか！？｣   

シャイロック｢二人とも、驚かないで下さいよ。折角、賢者様が信じて下さったのに｣

カイン｢喜んでるんだ。初対面の人間なのに、魔法使いを信じてくれて。それに、俺たちの言葉が嘘じゃないって！｣   

ヒース｢ありがとうございます、賢者様！この御恩は一生忘れません！｣

ヒースクリフさんもカインさんもなんだか大袈裟。