96話 温ったかい… ページ46
病室に掛けられた
彼女の名前。
何度も、何度も、
その文字を見つめては
溢れそうになる涙を
グッと堪えた。
……同姓同名かも知れない。
ドアを開けたら、
全くの別人が居るかも知れない。
嬉しさの反面
そんな恐怖に襲われた
「もしかして」そう思うと
堪らなく怖くなって
なかなかその扉を
俺は開ける事が出来なかったんだ。
G「そんなに笑うなよぉ…
マジですげー、怖かったんだから。」
もう、次こそは
生きて行けないって…
ソラが居なけりゃ
この病室から飛び降りてやるって
本気で、そう思ってた。
G「やー、怒るなよ…ごめんって」
でも、ここは3階だし
きっと酷い骨折くらいで済んだ筈だよww
G「ねぇ、許してよ……ソラ。」
プウッと膨らんだ頬っぺたに
そっと、手を伸ばす
ほんの、1時間前…
震える手で感じた、
彼女の、その''温もり''が
変わる事なく、其処にはあった。
『……コン、コン。』
意を決して
恐る恐る病室のドアに手を掛けた。
G「……っ。」
''まるで、おとぎ話のお姫様みたい''
彼女は、
真っ白なベッドの上で、眠ってた。
G「……は、はははっ」
あぁ、壊れたかも。
俺。
G「ははっ、本物だ…」
涙なのか、汗なのか、
はたまた鼻水なのかも分かんない。
流れる全てを
拭う事もしないで
ヨロヨロと、
彼女の枕元に身体を寄せた。
G「……ソラ？」
絞り出すような
酷く掠れた声だった
ピクリと、
それに揺れた彼女の睫毛。
G「起きてよ…ソラ」
震える両手を
彼女の小さな手に重ねると
それは、
嘘みたいに温かくて
堪えようの無い喜びと
ほんの少しの違和感を感じる。
ずっと、冷たかったソラの手が
G「温ったかい…」
ソラの温ったかいその手に
そっと頬を付けてから、目を閉じる…
『ジヨンの手は、冷たいね。』
………その声は
今まで聴いた、どんな音よりも澄んでいて
今まで聴いた、どんな譜よりも美しい。
胸が、熱くなる
苦しくて、切なくて、
愛しくて、愛しくて、愛しくて……
あぁ、もう、ダメ。
俺を満たすのも
殻にするのも
いつだって、君なんだ。
G「……ソラの手で、温めてよ。」
グシャグシャの笑顔で
俺が、ギュって手を握ると
ソラも、キュって
俺の手を、握り返した…。
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うずら(プロフ) - まりさん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！！他の作品も読んでいただいてるんですね(*´Д｀*)まりさんの様に楽しんで下さる方が居ると思うと頑張れますッ！！ (2019年7月12日 21時) (
レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 最高です、、、めちゃくちゃ泣きました。。。他の作品も更新楽しみにしてます！ (2019年7月12日 11時) (レス) id: 50b87f1970 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - なすぴさん» その言葉に私が感動ですッ号(┳Д┳)泣 更新がんばりますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです！ (2019年1月15日 14時) (レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
なすぴ(プロフ) - 感動！！！！更新ずっと待ってます！！ (2019年1月15日 10時) (レス) id: 10ff8b7314 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - ことりさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです(^-^) (2018年10月2日 7時) (レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うずら | 作成日時：2018年5月24日 15時
