76話 Y やっぱり、今日も ページ26
何度も何度も
ベッドのシーツに顔を擦り付けて
必死に
声を押し殺しながら
……ジヨンは、泣いてた。
震えるその肩に
そっと手をのばすけど
彼の肩を揺らす涙のワケは
"私"なんだと…
そんな思いが
不意に頭を過ってしまって
出し掛けたその手は
ゆっくりと宙を掴んで、パタリとシーツに落ちた。
血の通う暖かい両手で
彼の身体を包み込む事が出来たなら…
それは、どんなに願っても
決して叶わない夢で
ただ、ただ
その無力に自分を責めるだけ。
……結局
私はジヨンに
声を掛ける事さえ出来ないで
ゆらゆらと
カーテン越しに登り出した朝日が
彼の華奢な背中を照らし出すのを
ボーっと眺めてた。
そのうち枕元の携帯が
彼の1日の始まりを告げる様に
忙しなく鳴り始めると
G「……起きなきゃ」
って、いつもよりずっと掠れた声で
ジヨンは独り言みたいに呟いた。
ノソノソと、ベッドから這い出した彼は
少し気まずそうに俯いてて
私も同じ様に
気まずそうな顔して俯いた。
……なんか今日は
お互いが、そんな雰囲気で
きっとジヨンも
それを望むんだろうと思ったから
Y「今日は、ここで留守番してる。」
って、俯いたままの私の言葉に
案の定ジヨンは
G「…ん。」
って、だけ呟いて
寝室の扉をパタンと閉めた。
『えっ、なんでだよぉっ⁉』
何時もの彼なら
きっと、そう言ってた。
そんなジヨンの態度は何処か…
"恋の終わり''にも似た様な
儚い喪失感を、私に感じさせてしまって
その場から、動く気力さえ
私から簡単に奪い去る。
……もう、どれ位の時間
そうしていたのか分からない
ジヨンが居なくなった
リビングに出ると
何時もみたいに
テレビが付けたままにしてあって
楽しそうな
その笑い声を妬む様に
ゆっくりと、そちらへ目をむけた。
Y「？」
……それはテレビっ子2人の
いつもの、指定席。
当たり前みたいに
テーブルの上に置かれてたのは
もう、いつかに冷め切ってしまった
マグカップいっぱいのコーヒーと
お皿にガサガサっと
広げられたお菓子の山。
そのどれもが、手つかずで
それが私の為に
用意された物だって事は
どうにも明らかで…
Y「…こんなの、ズルくない。」
食べる事も飲む事も
必要としない私に
彼はそんな優しさを忘れなかった。
ねぇ、ジヨン？
自分勝手な我儘だけど
やっぱり今日も
ジヨンにくっ付いてたくなる。
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うずら(プロフ) - まりさん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！！他の作品も読んでいただいてるんですね(*´Д｀*)まりさんの様に楽しんで下さる方が居ると思うと頑張れますッ！！ (2019年7月12日 21時) (
レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 最高です、、、めちゃくちゃ泣きました。。。他の作品も更新楽しみにしてます！ (2019年7月12日 11時) (レス) id: 50b87f1970 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - なすぴさん» その言葉に私が感動ですッ号(┳Д┳)泣 更新がんばりますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです！ (2019年1月15日 14時) (レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
なすぴ(プロフ) - 感動！！！！更新ずっと待ってます！！ (2019年1月15日 10時) (レス) id: 10ff8b7314 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - ことりさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです(^-^) (2018年10月2日 7時) (レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うずら | 作成日時：2018年5月24日 15時
