rainy day 2 (ページ6)

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56話 Y クイズです。ページ6

……彼はマスクを外して
自動販売機のココアを一口飲んでから

眉間にシワを寄せた。

D「甘んまっ…。」

Y「……美味しい。」

随分と冷え込んだ夜の空気に
温かいココアの湯気がふわりと浮かんでは

染み込むみたいに消えて行く。

D「ハナは、甘い物が好きみたいだね？」

Y「……うん、そうみたいっテソン君は？」

D「俺は、甘いのはそんなに…。」

……じゃあ何でココア買ったんだろ？
ふふふっ、可笑しい。

Y「じゃあ、何が好きなの？」

D「うーんっ…でも、果物は好きだなっ
メロンでしょ、ぶどうでしょ、何でも好きだっ」

Y「あとは、あとはっ？」

D「あぁ～っとは……冬が好きかなぁ
寒い日にこうやって散歩するのも好きだよ」

「音楽を聴きながら、何時間も歩きたい
最近は、なかなか出来ないんだけどねっ。」

Y「じゃあ、久しぶりの散歩だった？」

D「うん、そうだな。
……ハナは他に何か、好きな物見付けた？」

『好きな物見付けた？』
……貴方は、やっぱり気付かない？

Y「うん、見付けたよ。」

D「えっ！何々っ⁉
今度買って来てあげるよ、言ってみてっ。」

うーん、困っちゃうな
きっとそれは、買えない物だから…。

D「早くぅ～っ言ってみなよぉ！」

……へへっごめんね
今はまだ、言えないの。

言ってしまえば、きっと貴方は
私から離れて行ってしまうでしょっ？

D「ねぇってばぁ、教えなよっ。」

さっきの貴方の言葉
……俺の家に、居ればいいって…。

本当は泣きそうなくらい嬉しかったの
けどね、それと同時に

貴方の目には私が
『女』として映っていないって宣言にも思えた。

１つ屋根の下に暮らしても
俺は何とも思わないよって、そんな宣言。

Y「……クイズです、当ててみてっ。」

私の好きな物、何だと思う？
きっと貴方が、1番良く知ってる物じゃないかな。

D「……え～っ、ヒントはっ？」

ヒントは…そうだなぁ……

Y「とても、暖かい物ですっ。」

……私の髪に触れた
とっても柔らかくて、暖かい手の平。

Y「……私が、目覚めて初めて……」

D「ッッッ‼分かったッッッ‼‼」

「インスタントラーメンだっっ‼
絶対に正解だろっ⁉ねっ、正解だろっ⁉⁉」

……私が、目覚めて初めて、目にした物

答えは、『貴方』だよ。

D「何だよっ、ハズレなのっ？」

Y「……うんん…正解。」

ねぇ、テソン君
本当の私の気持ちを知ったら

貴方は一体、どうするのかな…？