rainy day 2 (ページ50)

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99話 T 『女狐』ページ50

……正直

どんな
『女狐』が顔を出すのかと……

俺は少しだけ
ワクワクとして居た。

『おかえりなさいっ！』

……そう言って
玄関の扉を開けたその女は

若干の期待ハズレ。

うん
確かに…

テソンの言う通り
『仔犬』の様な笑顔で、俺を出迎えた。

「………ははっ、ただいまっ。」

扉の向こうの相手を
ろくに確認もせずに飛び出したんだろ？

俺を見た瞬間に
分かりやすく固まったその笑顔が

彼女の、その不用心を
コレまた分かりやすく、俺に告げ口してくれた。

「君は、不用心だね？……減点2…だな。」

……コレじゃ
『番犬』には向かないなww

少しからかう様に
リアルな減点を言い渡すと

営業用の
笑顔を貼り付けて

俺はニッコリと、彼女に微笑んだ。

……さて

ここから''敵''は、どう出るかな？

確かに
第一印象は悪くない

『仔犬』はいつだって
無条件に、可愛いものだ。

しかし

愛くるしいその姿に
簡単に騙されてしまうのは、初心者だ……

奴らは
時に人を死に至らしめる程の

それは、それは、恐ろしい
''病原菌''を持っている事も少なくは無い。

なんと言っても

ウチの大事な弟を
誑かした事に、変わり無い訳だろう？

……コレでも俺は
お前の兄貴なんだから

最近のお前を見てれば
心配にもなるさ。

ココを出たのだって
きっとコイツの、せいなんだろ？

困った様に
俺を見つめる、この女が

『女狐』なのか

それとも
本当の『仔犬ちゃん』なのか……

T「どうも、初めまして。」

……俺がこの目で
確かめてやろうじゃないか。

Y「あっ…あのぉ……」

T「んっ、何かな？」

遠慮がちに開いた
彼女の口から出るのは

『お会い出来て光栄です～っ』

『テレビで観るより、素敵でびっくり～っ』

まぁ、初対面なら
大体こんなトコだろう？

媚び過ぎる女は苦手だし
信用に欠ける。

……さて

コイツは、何て言うかな？

Y「……あの…
失礼ですけど……どちら様ですか？」

…………''どちら様ですか？''

それは
もしかして

新しいギャグ、なのか？