rainy day 2 (ページ46)

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95話『ピンポーン。』ページ46

「……ふふふふっ。」

ハナ、何て言うかなぁ？

喜んでくれる？
それとも、遠慮しちゃうかな？

無造作に仕舞いこんだ
ポケットの中の''そいつ''を

何度も、何度も
確かめる様に、手を突っ込んだ。

D「じゃ、ありがと、お疲れ。」

マ「……今日は、自宅で良かったんですか？」

D「あぁ、うん。」

マ「ホテル戻るなら、このまま待ちますけど？」

D「あーっ…今日はいいよ、
もう、そろそろ、こっちに帰るつもりだしね。」

仕事帰りの移動車は
ホテルじゃなくて、ハナが待ってる俺の家。

……ホテル暮らしは
人より慣れてるつもりだし

はっきり言って、快適だっ！

少し硬いと感じたベッドも
今ではすっかり、身体に馴染んでる。

だけど
やっぱり……

流石に
もう、そろそろ、帰りたいっ！

俺の性よっ……

……いやっ、ハナへの強い衝動も

この1ヶ月ばかりで
もちろん、落ち着いてたし

また、俺達は
これまでみたいに、暮らしていける筈。

うん、よしっ！
決めた。

今日、ハナに
ここへ戻るって、そう、話そうっ！

そうだよっ、丁度いいじゃんっ
''コレ''をハナに渡して

『もう、離れてる必要は無くなるしねっ。』

そうだっ
そうしようっ！

俺は、いつになく気分が良くて
自分の財布を手に取ると

鼻歌交じりに、カードキーを抜き取った。

……あっ

違った、違ったっ。

突然、鍵を開けちゃうと
ハナがびっくりするかも知れないって

ホテルに移ってからは
まず、インターホンを押していた。

ではっ……

『ピンポーン。』

いつもと変わらない
その、音で

いつもと変わらない
ハナとの日常を

俺はその日……
取り戻すつもりで、居たんだよ？