rainy day 2 (ページ45)

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94話 Y 同じ毎日。ページ45

……あの日
彼がこの家を出ててから

早くも1ヶ月半が
経とうとしていた……

『時々は、帰れる様にするからね。』

その約束通り
彼は時々、帰ってきては

変わりは無い？
不便は無い？

心配そうに
私に、そう尋ねることが

もう殆ど
お決まりのパターンになっていて

決まって私は
彼のその言葉に

「うん、大丈夫です。」っと、だけ答える。

……実際、この暮らしに
変わった事も無ければ、不便な事も無い。

『テソン君が居ない』って事以外

なんの変化も
有りはしなくて……

今日もまた
いつもと同じ1日を

いつもと同じ様に、繰り返すだけ。

朝起きて
冷蔵庫のお水に、手を伸ばす……

『あっ、ハナっ！朝一番の
冷えた水は、身体に良く無いんだってっ』

朝食は
簡単にトーストを……

『あーっ、パンは美味しいけど
なんか色々入ってるから、お米の方がいいな…。」

テソン君は、健康が好き。

天気が良いから
お洗濯でも……

『ねぇハナっ、ダウニーいっぱい入れてよっ♪♪♪』

柔軟剤の、良い匂が好き。

陽が暮れて
寒くなる前にお買い物でも……

『わぁーっ、寒いッッ、テンション上がるなぁっ』

寒いのが好き。

……いつもと変わらない
私の毎日には

いつだって、彼が溢れてる。

Y「早く、戻って来ーいっ……。」

リビングのソファに
ゴロンと、だらしなく転がって

高い天井に向かって
そう、呟いた。

窓の外は
もう、いつか陽が傾いていて

……あぁ、彼が帰って来た時の為にっ！

って、毎日ちゃんと作る様にしてた
温かい夕食のスープが

キッチンで
少しの湯気を立てている。

『ピンポーン。』

突然、響いたその音に
ガバッと私が立ち上がったのは……

言うまでも、無い事だ。