rainy day 2 (ページ38)

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87話不思議な罪悪感。ページ38

「じゃあ、おやすみ。」

って、俺が寝室の扉を閉めたのは
夜の11時を少し回った頃だった

パチンと明かりをつけると

久しぶりの自分の寝室に
「ホッ」と心が落ち着いたけど

……なんて言うのか

何処か少しだけ
いつもとは違う''何か''を感じた

言ってしまえば
それは、ほんの針の先程の『違和感』

時計の位置？

ベッドの感じ？

その違和感の正体は分からないけど
何かが、いつもと違う気がして

俺はキョロキョロと辺りを見回した……

……さすがに
自宅でドッキリなんて仕掛けて来ないよな？

D「ははは、まさかねww」

なんて言いながらも
ビビリの俺は、やっぱり少しビビってて

部屋の明かりは付けたまま

恐る恐る、ベッドに近づくと
それに掛かるシーツを、ガバッとめくったっ

「……ヒッッ‼」

その瞬間っ
白い何かがヒラっと舞い上がって

ゆっくりと、その場に落ちた……

「レ、レシートっ？？？」

そろりと拾い上げたソレは
家の近くの、マーケットのレシートで

「林檎ジュースに、食パン？」

もちろん、それは
身に覚えのない買い物だったし

記載された日付が
そのレシートの主は俺じゃないと

ハッキリ物語っていた。

「……ハナ、なの？」

なんでベッドの中に
レシートなんか落ちてんだよ？

って、首を傾げながら
『カチャッ』っと寝室の扉を開けると

リビングの電気は
もう、既に消されてて

理由は何故か分からないけど
俺は息を殺しながら

こっそりとキッチンに足を向けた。

薄暗いキッチンの
冷蔵庫の前に立つと

その扉を静かに開けてみる……

冷んやりとした空気に
いつものミネラルウォーター。

それに、少しの果物と

ハナが食べたのかな？
半分食べかけたパンケーキのお皿に、ラップが掛かってる。

……そんな中に混ざって
少しだけキツそうに置かれてたのは

『林檎ジュースと食パン』で

ベッドの中の
『妙な落し物』の主は

やっぱり、どう考えても
ハナなんだろうなって、そう思った。

「何してんだよ。」

……君って奴は

いつも俺の心を
かき回すのが上手くて困る……

「はぁ。」

って、小さな溜め息１つに
パタンと閉めた、冷蔵庫の扉。

足早に寝室に戻ると

そのベッドに
ゆっくりと身体を預けてから

手繰り寄せたシーツに
そっと鼻先を埋めた

……それは、不思議な罪悪感。

俺は、その日初めて
ハナとの『そーゆー』夢を観た……