rainy day 2 (ページ36)

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85話 Y 林檎ジュースに食パン。ページ36

……結局、彼との明け方のお喋りは
太陽が昇るまで続いて

13日の金曜日に
『ジェイソン』という謎のアメリカ人が訪ねて来る。

という様な、話を最後に……

彼との電話は
私の携帯の充電切れで、終わりを迎えた。

ゴソゴソと彼のベットを抜け出した私は
証拠隠滅のため、綺麗にベッドを整えると

充電切れの携帯を
再びデニムのポケットに押し込んだ。

リビングに出ると

置きっ放しになってた
買い物用のバックが目に止まって

その中からは

昨日買った、ふかふかの食パンと
林檎のジュースがコロンと、転がってた。

……あぁ
そう言えば買い物してたっけ……

あの時は
気が動転してて

そんな事も、すっかりと忘れてた。

「……はぁ。」

転がったままの林檎ジュースと
食パンを拾い上げると

そのままソレを
冷蔵庫の中に押し込めた。

ふかふかの食パンを
なんで、わざわざ冷蔵庫の中にっ⁉⁉

なんて
そんな風に思うでしょう？

だけど、無造作に置かれてたソレが
どうにも、あの時の気持ちを蘇らせてしまって

どうにも
目を、反らせたくなってしまう……

「パン、カチカチになっちゃうなぁ。」

……何かを
思い出したわけじゃ無いけど

何処か後ろめたい気持が
心にペタリと張り付いて、剥がれない。

私は、確実に
自分の過去に怯えてる

うんん、自分の過去を
取り戻すことに、怯えてる

それは、つまり

いつか訪れる
『彼との別れ』に、私は怯えてるんだ……

……それを思うと
やっぱり、堪らなく怖くなって

又すぐに
彼の声を聴きたくなったけど

一体、どのツラ下げて

『私も、テソン君の声が、もっと聴きたい』

何て言えたんだろう？
と、思ったら

自分の頬を
思いっきり張り上げて、やりたくなった……。