rainy day 2 (ページ34)

今日:6 hit、昨日:13 hit、合計:36,798 hit

83話 Y 声を聴かせてページ34

……暖かくて、いい匂いがする。

『……ねぇ、ハナ…起きなよ。』

あれ？

テソン君
いつの間に帰ってきたの？

『ほらっ、起きなって……』

う～んっ、ヤダよ…
まだ起きたくないんだもん。

『まったく、寝坊助なヤツだなっ』

……そうだよ
私は、寝坊助なの。

だから後5分だけ、寝てちゃダメ？

『う～んっ
いいけど……早く起きなきゃ…』

『……俺、居なくなっちゃうかもよっ？』

Y「……えっ⁉」

そんな言葉に
ハッとして飛び起きると

もう、辺りは真っ暗で……

今、自分が何処に居るのかさえも
その暗闇に、見失っていた。

Y「……あれ？」

いつの間にか
潜り込んでいたシーツの中には

やっぱり
彼の匂いが残っていて

Y「私、あのまま…寝ちゃったんだ…」

やっと、そこが

不法侵入した
彼のベッドの中だったと、理解した。

……私ったら、しまった、しまったっ////
なんて、枕元に頭を上げれば

目の前のデジタル時計は
午前4時44分で

Y「……あっ」

そんな数字に
思わず上がった小さな声と

それを、遮るみたいに
突然、鳴り始めた携帯電話……

『Prrrr…Prrrr……』

それは、勿論、私の物で

Y「………。」

こんな時間に電話なんて？

……そんな疑問とは
まるで逆に

画面を覗かなくても
その相手が、誰なのかなんて

まるで、明らかで……

そんな、早朝の着信は
私の不安を、妙にかき立てた。

もしかして
怪我でもしたんじゃっ⁉

そんな考えに思い至ると

無意識に私の身体は
パッと、起き上がっていて

ポケットから
まだ震える携帯を、取り出していた。

Y「……テソン君っ？」

『…………。』

起きがけの私のその声は
うわずった様に、震えてしまったんだけど

『………ハナ？』

そう
電話越しから聞こえた彼の声も

何故だか、私と同じ位
……震えてる様に、感じた。

Y「どうしたのっ？何かあったっ？」

『………ハナぁ…』

Y「何…テソン君？」

私の名前を呼ぶ
彼のその声は

なんだか少し、情けない様な

なんだか少し、甘えた様な

『……もっとハナの声…聴かせてよ…』

ねぇ、テソン君
………私ね、昨日とても、怖い思いをしたの。

本当なら『良かった』って
喜ばなきゃいけない事なのに

私はとても、怖かった。

Y「……私も…」

『えっ？』

Y「……私もテソン君の声が、もっと聴きたい。」