rainy day 2 (ページ27)

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77話 Y 大切な友達。ページ27

D「じゃあ、行って来るからね。
……もし何かあったら、直ぐに連絡するんだぞっ、いい？」

Y「はいっ。」

D「俺が電話に出れなかったら、マネに電話してっ
あとっ、買い物に行く時は迷子にならない範囲内だからね？」

Y「……はいっ。」

D「あとっ……」

Y「ふふふっ、はい、はいっ
変な人には付いて行かないしっ、ご飯もちゃんと食べます！」

D「………うん、よしっ。」

Y「心配性なんだから…」

D「はっ？実際、心配なんだよっ！
だって2ヶ月もハナを1人にさせるんだぞっ」

Y「………。」

D「心配なのは、当然だろっ？
………ハナは俺の大切な…友達、なんだから。」

『ハナは俺の大切な、友達。』

あの日の翌朝から
今日までの、1ヶ月間。

彼は、何事も無かったかの様な日常を

………私の前で、演じてくれてる。

朝起きて、食事をして
たわいの無い会話をして笑う……

同じ気持ちを、ギュッて押し殺した私達は
どこか悲しい共犯者みたいだ。

D「じゃあ、行って来ますっ！」

Y「うん……体調、崩さないようにね。」

D「ハナも、風邪引かないようにしろよ？」

Y「……分かった。」

『友情』と言う名の隠れ家に潜んで
怯えながらも、離れられずに

今日も、お互いの様子を伺ってる。

……玄関の扉の向こう側に
彼の笑顔が消えると

たちまち私は、その場に座り込んで
深い、深い、溜め息を吐く。

Y「……友達って、苦しい。」

ポツリと呟いたその言葉に
もちろん、返事をする人も居ない。

きっと、本当なら
寂しくて仕方ないはずだった2ヶ月の始まりが

……どこか私の心を
少しだけ、解放した様な

ホッと息を、吐かせた様な……

そんな気持ちが、また切なくて
冷たい玄関の床にペタリと座り込んだまま

彼が消えて行った扉を
ただ、ただ、ボーッと見つめて居た。