rainy day 2 (ページ24)

今日:15 hit、昨日:13 hit、合計:36,807 hit

74話『あの夜』ページ24

『じゃあ今は、恋人居ないの？』

D「……なに、まだ真実ゲームが続いてるの？」

『ふふっ、これはぁ、個人的な質問…』

そんな小さな耳打ちが
俺の胸を、少しだけ擽った

実際、こんな質問には慣れたモノだし
俺に近づいてくる女の子は、結構居るんだよ？

慣れたはずの、その耳打ちに
……なんで、胸を擽られたのか

D「……ハナ…」

『えっ、何か言った？』

きっと、それは
必要以上に飲み過ぎたワインと、俺の願望のお陰だ。

……隣に寄り添う君が
本当にハナなら、どんなに良かっだろう…

俺の頬を掠めた長い髪に

そんな想いが込み上げて
自分でも本当に、情け無い位だよ。

『……テソン君？』

そんな風に、俺の名前を呼ばないで
ハナによく似た顔で、ハナによく似た髪で

……俺に近付かないでよ、堪んなくなる。

D「……何？」

『だからぁ、彼女って、居るの？』

俺の事、気になるの？
だったら止めときなよ、おススメしない。

D「……彼女は…居ない…」

『えっ、本当に？』

D「うん、嘘は付かないよ。」

……彼女はいるけど、遊んでやっても良いよ？

堂々と、そう言える男の方が
どれだけかマシだ

……彼女は居ないけど
忘れられ無い片想いの相手が居る。

君によく似た女の子で
今、この瞬間も

君が彼女なら良いと、心からそう思ってるんだ。

一晩限りの約束だけど
彼女の代わりに、俺を慰めてよ？

D「……嘘は付かないけど
俺は君が思ってる様な奴じゃないかもよ？」

『えぇ～っ、じゃあ、どんな奴なの？』

D「知りたい？」

『……うん。』

並々と注がれたグラスの中のワインを
ゴクゴクと喉に流し込むと

外れかけてた、理性のボタンが
パチンと軽い音を立てて、外れた気がした。

D「後で、教えてあげるよ…」

その彼女の長い髪に
少しだけ顔を埋めながら、そう耳元で囁くと

『あの夜』夢中で埋めた
ハナの髪の匂いを思い出した。

……今でも俺には、分から無い事がある
俺の気持ちに応えなかったハナが

なんであの夜、俺にあんな事をしたのか

それは彼女が
俺の前から姿を消す前日の事

……あんなにも人を愛おしいと思った事は
今まで無かったのかも知れない

あの夜から、俺達2人の時間が始まるんだって
俺は勝手に思い込んでた

……でも、違ったんだ。

ねぇハナ、俺は今でも
……あのベッドで君を抱いてる

想い出の中の君を、何度も何度も……抱いてるんだ。