rainy day 2 (ページ23)

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73話真実ゲーム。ページ23

『……テソン君てばぁっ
もーっ、また秘密の考え事してるんでしょぉ～っ』

そんな甘えた声で

……俺は一気に
現実の世界へと、引きずり戻された…

D「ヘッッ⁉……あっ…あぁ…
ごめんっ……え～っと、何だったっけ？」

S「〝何だったっけ⁉〟じゃないっすよぉ～っ
さっきから、ぼぅぉーーっとしてぇッッ、何考えてんすか⁉」

……俺は…何を考えてた？
現実の世界を、ぐるりと見回せば

夜景の綺麗なレストランは

ケバケバしく、ライトアップされた
クラブの一室に姿を変えて居た。

………そうだ

どんなに、どんなに思い返した処で
ハナと歩いた、あの月の夜には、戻れない

俺の現実は、甘えた声と
アルコールに混じる香水の匂い。

S「ほらぁっ、ヒョンの番すよぉっ‼」

D「えっ⁉なんの番っ？？」

S「まっっ‼やだぁっ～ッッ
本当に聞いてなかったんすかぁ～ッッ⁉⁉」

D「……うん…ごめん。」

『真実ゲームですよッッ！』

D「えっ、何それ…古くない？」

S「いーのッッ‼
聞いてなかった割に文句だけは言うんだから、この人ッッ」

D「あーっ、はいはい
……分かったよっ、んで、質問は？」

『忘れられない恋人って、いますか？』

横から割り込むみたいに
そんな質問を俺に投げ掛けたのは

ハナによく似た
長い、栗色の髪の女の子だった。

答えなきゃいけない？
……面倒くさいよ、こういう感じっ。

D「………。」

S「ヒョーンッ黙秘権は無しですよっ‼」

D「……はぁ～っ。」

S「溜め息はいいからぁっ、早く答えてッッ‼」

……真実のみを答えるんでしょ？

D「あーっ、忘れられない恋人？
そんなの居ないよ…忘れられない恋人なんて、居ない。」

真実のみを答えるなら
……俺に『忘れられない恋人』なんて居ない。

誓って嘘じゃないよ？

今でも苦しくて、切なくて
胸を掻き毟るようなハナへの想い

もちろん、忘れたくても忘れられ無い……

だけど彼女は
俺の『恋人』にはならなかった。

『忘れられ無い女性は居ますか？』

……それなら迷わず、答えはYESだ。

ねぇハナ？
恥ずかしいから言わないつもりだったけど

実は、あの日のワンピースを選ぶのに
2時間も掛かっちゃったんだっ

ちゃんと、プレゼントだって用意してたし
準備は万端だったんだよっ？

……後は、ハナが来てくれるのを、待つだけだった。

なのに、どうして？

何で君は
……来てくれなかったんだよ？