rainy day 2 (ページ14)

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64話 Y 意地悪。ページ14

『映画館に連れてってあげるよ！』

……んふふふっ////

『どんな映画にしようか？
……あっ、でもまたワンワン泣かれたら困るからな…』

『やっぱ、止めようかなぁ～www』

……意地悪テソンめっ。

『はははっ、嘘だよっ
ちゃんと連れてくから拗ねるなよっww』

……んふふふっ////

昼下がりのキッチンに1人立ちながら
簡単に済ませた昼食の食器を
モコモコと泡だてたスポンジで丁寧に洗いながら

……私は昨日の
彼の言葉を、思い出していた。

『……映画を観たら、外でご飯でも食べようよ
外食なんて……食い逃げ以来だろっwww』

……もーッッ馬鹿馬鹿っバカッッッ！
テソン君は、最近少し、私に意地が悪い。

よく、私をからかっては
それは、それは、嬉しそうに……笑ってる。

『あーっ、ごめんってばぁ……
もう言わないからさ、そんなに膨れないでよっ』

『……ハナが、可愛いから
つい、意地悪したくなるんだよ。』

………きっと、彼は酔っ払ってた。

『ハナぁ、こっち向いて？』

………きっと、彼は酔っ払ってた。

『ふふふっ、ハナのおデコって可愛い。』

………きっと、彼は…
何気なく、いつもの様に、私をからかっただけ。

『………キス、したくなっちゃうよ。』

私のおデコを指差して
彼は照れた様に、笑ってた……

………シンクの中で
モコモコの泡に包まれた食器がカチャッと音を立てて

ハッと我に返ると
時計の針は、さっきより20分も進んでる。

まずい、まずい……
考えない、考えないっ……

よしっ、掃除でもするかっ気を紛らわさなきゃ！

そう思って
蛇口から水を出したのと、ほとんど同時に

「……ピンポーン。」
って、突然のインターホンが、部屋に響いた。

………ここに来てから
インターホンが鳴る事は初めてで

玄関の扉の向こうに居るのが
彼じゃないって事は、明らかだった。

………それでも、何故か
誰が、あのインターホンを鳴らして居るのか

何となく私には、分かってた。

『……ハナさん、こんにちは。』

そう、この人しか居ない。

Y「こんにちは……どうぞ、上がって下さい。」

そう言って
その人を招き入れると

『もうすっかり、奥さんみたいな口振りですね。』

はははっ、て笑うその人の笑顔が

「嘘」か「本当」か
………私にはまだ、分からなかった。