rainy day 2 (ページ13)

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63話君の初めて。ページ13

D「……ハナ…もう泣かないでよ…。」

Y「うっ、ううっ……だって
お互い好きなのにっ、何で許されないのっ…」

D「……それは仕方無い事だろ？
もう忘れなよ、気持ちを切り替えなきゃ。」

Y「そんなの無理っ
……テソン君は、冷たい人ですね…。」

……はぁ、参ったなぁ。

D「そうだよ、俺は冷たい人だからね
いつ迄も気持ちを引きずったりしないんだよ。」

Y「……酷いっ、ううっ。
私をこんな気持ちにさせておいて…自分はっ」

……まったく、弱ったな。

D「そんな事言ったってっ
……ハナが、自分で選んだんだろ？」

Y「教えてくれれば良かったのにっ！」

D「だってっ、まさかこんなにも落ち込む何て
俺だって思わなかったんだよっ！」

Y「……ハッピーエンドだと、思ってた…。」

……そんな拗ねた顔するなよ。

D「ほらっ、次は明るい映画にしよっ！
バーンッッとかドーンッッとかなるのにしよっ‼」

Y「……うん。」

ズズッてハナが、鼻すすってるww

……少し、お酒の入ったハナは
泣き虫だって分かったよ。

悲しい恋愛映画にワンワン泣いた挙げ句
俺に絡み出す、酒癖の悪さも持ち合わせてるww

……誰もが知る、悲しい結末の恋愛映画も
誰もが知る、スーパーヒーローも

ハナにはとっては
どれも全てが初めてで

大人だけど、赤ちゃんみたい…
そんな不思議な感覚。

ハナは、まだ真っ白なスポンジなんだ

俺がその気を出せば
どんな色にでも染めれちゃうのかも知れない。

……それって、結構…危ないよ。

『俺しか知らない、ハナ。』

記憶を失くす前のハナが
どんな生活を送っていたかなんて

全く想像も出来ないし
今となっては、したくも無い。

……でもきっと、恋人位は、居たよな？

全て忘れた君は
今ここで、こうして俺と居るけれど

実はまだ、他の誰かの
モノなのかも知れない…

だったら、そんな記憶
……無くしたままで、構わないよ。

俺がこんな事
思っちゃいけないなんて事は、百も承知だし

ハナの為にも、記憶は絶対に必要だって分かってる。

……けど、嫉妬深くて女々しいもう1人の俺が
ハナのそんな結末を、望んでるんだ

これから君が知る事、経験する事
その全てに、いつも俺の姿があればいい。

D「ねぇ、ハナ
次はさっ、映画館に連れてってあげるよ！」

ほら、また一つ
君の『初めて』を俺が貰うんだ。

……ねぇ、ハナ

俺はあと幾つ
君の『初めて』を貰う事が出来るのかな？