rainy day 2 (ページ11)

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61話 Y 眼に映る世界。ページ11

マ「……ですから、僕は
この状況を見過ごす訳にもいか無くて…」

「どんな方なのか
一度ハナさんにお会いしておきたくて
今日はこうして、伺わせていただいたんです。」

……彼のマネージャーだと言うその人は
思いのほか簡単に、そう話を切り上げた。

マ「突然でしたから、驚かれたでしょう？
申し訳ありませんでした。」

Y「いえっ、そんな事っ…。」

初めに見せた、あの訝しげな表情は
もう其処には無くて

マ「……ただ、彼の職業の事だけは
ハナさんの頭にも、置いていて頂きたいので…」

Y「はい、勿論です。」

ホッと、胸をなで下ろすような安堵感……

……それと、同時に

何処か釈然とし無い
モヤモヤとした気持ちが、私の中に残っていた。

マ「では、僕はこれで失礼します。」

D「えっ？もう帰るのっ？」

マ「はい、まだ仕事残ってるんで。」

D「あー、そっか…。」

……本当に話は、これだけだったの？

マ「……ハナさん、おやすみなさい。」

Y「あっ、はい、おやすみなさい。」

D「玄関まで送って来るよ、待ってて、ハナ。」

………私には

彼を取り巻く世界が
どんなモノなのかは分からない。

だけど、彼の生活が……

彼だけのモノでは無いのだと言う事が
今日しっかりと、分かった。

……もしかすると彼は

何も知らない私に
ひと時の安らぎを求めたのかもしれない。

……ねぇ、テソン君

貴方の眼に映る世界は
一体、どんな世界なんだろう？

知ってしまえば、きっと

私はもっと
臆病な女になってしまう、そんな気がするの…。