rainy day 2 (ページ1)

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51話半年。ページ1

『……Pururururu、Pururururu…。』

窓の外の雨音に混じって聞こえ出したのは、携帯の着信音だった。

閉め切ったカーテンから視線を外すと
テーブルの上で鳴り続けてる携帯の画面を覗き込んだ。

………何だよ、お前か。

「…もしもーし、どうしたの？何かあった？」

「えっ、今から？……嫌だよ、面倒臭さい、雨降ってるし…。」

こんな日に、出掛けるのは特に億劫だ。

「うん、確かに明日は休みだけどさぁ～。
……他に誰か居るの？場所にもよるけど、何処で呑んでるんだよ？」

「…………えっ？」

その店の名前を聞いた途端
心臓がギュッと締め付けられる感覚がした。

「………うん、覚えてるよ、大分前に皆んなで行ったトコでしょ？」

勿論、覚えてるよ…
あの日俺は、あのクラブの裏でハナを拾ったんだ。

「分かった、今から行くよ。」

ハズレだ天気予報のおかげで、今日は偶然にも雨降りだ……

何に期待してるのか、自分でもよく分からないけど
心がソワソワと足踏みし出してる。

「はぁ～っ、女々しいな。」

独りぼっちの広い部屋に
俺のそんな呟きは、良く似合ってる。

使わなくなったキッチンに
飲みかけのミネラルウオーターを、コトンと置くと

適当なジャケットを羽織って玄関に向かった。

「……いってきます。」

返って来る声なんてあるはずも無いのに
俺はまた、独り言みたいにそんな言葉を口にしてる。

……朝起きて、仕事に出掛けて
疲れて帰って、また眠る。

君が居ても居なくても、俺の日常は何一つ変わら無い。

どんなに辛くても、苦しくても
普通の顔して過ごしてるよ。

……ハナ、君が居なくなってから
もう半年が、経とうとしてる。