57話Y ページ7
心臓が…止まるかと思った。
…これは…
人が死ぬ前に見ると言われる
短くて、幸せな夢なのだろうか…?
それとも…
あの大きなスクリーンから
私を助ける為に飛び出して来てくれたの?
目の前で
私を見つめる彼の存在が
次々と色々な考えを頭に過ぎらせるけど…
ギュッと強く抱きしめられた
その瞬間に…
全て何処かへ、吹き飛ばしてしまった。
もう、何も考えずに
彼の腕の中で…
彼を見つめて、彼の声を聞いた。
あの日と何もかも変わらない…
同じ声で…
同じ鼓動に、優しさを感じる。
気がつくと、ポロポロと涙が溢れてて
肩を震わせながら
泣いている自分に気が付いた。
…ああ、やっぱり
私は…この人が好きなんだ…。
「大丈夫だよ。」と、
私の髪を撫でる彼が
たとえ、どんな人間だったって…
この気持ちに、変わりはないんだと思う。
何処か満たされたような気持ちで
抱き合う私達の再会を
まるで、遮るように…
『カシャカシャ』と聞こえだした
携帯のシャッター音に
彼が思わず、顔を上げたのが分かった。
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作者名:うずら | 作成日時:2017年4月26日 14時