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55話D ページ5
…振り返った彼女の顔は…
何故か、少しはにかんだ様な…
愛しい恋人を見つめるみたいな顔をしてた。
…なんだよ、その顔？
初めて見た、彼女のそんな表情に
何だか、胸が急激に熱くなる
…何て、言えばいい？
君は誰なのっ⁉
名前はっ⁉歳はっ⁉
何でいつも、俺の前に突然現れるのっ⁉
聞きたい事は山の様。
なのに、何１つ言葉にならなくて…
振り返った彼女を
ただ…思い切り強く、抱きしめてた。
「もう、何してんだよっ、俺が居なきゃ
死んじゃってたかもしんないんだぞっ。」
「良かった…本当に、良かった…」
ポツポツとそんな言葉だけが
俺の口から、次々にこぼれてて
腕の中の彼女は
酷く驚いた様に俺を見つめてたけど
いつの間にか、小さく肩を震わせて
泣いているみたいだった…
「…怖かったよな？もう大丈夫だよ。」
あの日の夜みたいに
何度も、何度も
優しく彼女の頭を撫でながら
何故だか分からないけど
込み上げて来そうになる涙を
俺は必死で堪えてた…。
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作者名：うずら | 作成日時：2017年4月26日 14時
