夢で逢えたら。2 (ページ31)

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81話Ｙページ31

『あの店で、待ち合わせしようか？』

彼は電話越しで
思い付いた様に、そう言った。

あぁ…ピッタリかも
私達の初めての待ち合わせに…

あの店はピッタリだと思った…。

『ガラガラ…。』

相変わらず
建て付けの悪いドアが、ゆっくり開くと

帽子にマスクの…
いかにも怪しい、彼が現れた。

『いらっしゃいませぇ！』

入口の彼に向かって小さく手を上げると

マスクを下ろして
嬉しそうに、彼が微笑んだ。

店「まさかねぇ～、おどろいちゃったよ！」

「この子が探してたのが、お兄ちゃんだった
なんてさあっ、本当っ会えて良かったねぇ。」

…あれからずっと
私達の事を気に掛けていてくれていたのか

成り行きを話すと
おばさんは、心底喜んでくれた。

「ご馳走様でした～。」

2人でお礼の挨拶をして、店を出れば

人気のない、狭い路地は
今にも雪が散らつきそうな程冷えていて…

思わずブルっ身体を縮ませた。

「寒いでしょ？」

彼はそう言って、私の肩を抱き寄せてくれる。

駐車場までの短い道のり
肩を寄せ合って、2人並んで歩く…

Ｙ「ねぇ、聞いていい？」

Ｄ「んっ？何を？」

Ｙ「何で…あの日、私の部屋に
戻って来てくれたの？」

Ｄ「…あーっ…少し恥ずかしいよ…。」

Ｙ「…教えてよ。」

Ｄ「……運命だと思ったからだよ。」

「…世の中には
数え切れない程沢山の人が居るだろ？」

「本当なら、俺達は一生出会う事の
無い2人だったかも知れない。」

「違う人生を生きて、別の誰かを想う…」

「でも、それは間違いなんだよって」

「神様が俺達を…」

「正しい方向に
導こうとしたんじゃないかなって？」

Ｄ「…だから、この出会いを
無駄にしたく無いって思ったんだ。」

…運命…？

確かに、そうかもしれないな…
謎だらけの私達の出会い。

説明のつかない現象に
今だって、いくら考えても答えは出ない。

彼が言う様に
これが運命で、神様がくれた奇跡なら…

2度と手離したらいけないんだ。

Ｙ「…ありがとう…戻って来てくれて…。」

気がつくと…

真っ暗な空から
雪がチラチラと舞い降りて来てた。