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66話Ｙ ページ16
…彼に向かって走りはじめる。
それは、言葉で言う程
簡単な事では、無かった…。
まず、彼に会う為にはどうしたらいいの？
彼は普段、何処にいるんだろう？
私には…それすら分からなかった。
一度、意を決して
彼の事務所の前まで、足を運んでみたけど…
何人か女の子達が待っていたし
ここで彼を見つけた所で…
前の様な騒ぎになってしまうんじゃないか？
彼に迷惑が掛かるかも…？
…結局、臆病な自分が顔を出してしまう。
でも、ただ待つだけなんて
絶対にしたく無かった。
今の私に出来る事は…
たかだかコレくらいしか、無いのかな…？
白い息を吐きながら
テクテクと細い路地を歩いてく。
…その店は
繁華街から少し外れた狭い路地裏にあった。
お世辞にも、綺麗とは言えない外観に
それと同等の看板が店の前に出されている
店の前に立つと…
あの日、彼と肩を寄せ合って座った…
そんな光景が目の前に浮かんだ。
私は、ため息を１つ吐くと
少し建て付けの悪くなったそのドアに
手を掛ける…
ガラガラと音を立てながら
開くドアの向こうから
「いらっしゃいませぇっ！」
っと、元気のいい
女店主の声が、上がった。
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作者名：うずら | 作成日時：2017年4月26日 14時
