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65話D ページ15

彼女との
あの出来事の2日後から



俺達のコンサートツアーが始まった。



連日のライブに、移動で身体はクタクタ…
だけど、毎日充実してたし



何より、自分自身が楽しめた。



沢山の人達に感謝する事が出来た
そんなコンサートツアーも無事終了して…



俺はまた、韓国での生活を送っていた。






「はい、お待たせ〜、チャンポンね。」



…ふむふむ、美味しそうだ。



少し遅目の夕食に
思わず、頰が緩んでしまう。



この店は、見た目の汚さに似つかわしくなく
何を食べても、本当に美味しい。



「いただきますっ。」



しっかり手を合わせてから
湯気の立つスープに、口を付けた。



「わぁ、美味しいなぁ…。」



ポツリと呟いた俺の言葉に
この店の、女店主がクルッと振り返った。



店「お兄ちゃん、
最近よく来てくれてるぇ。」


D「…あ、はい…美味しくて。」


店「あらっ嬉しい事言ってくれるっ!」



あんまり話し込んでバレたくないし…
少し伏し目がちに、店主と話す。



店「ほらっ、ウチこんなオンボロでしょっ…」


D「あ、はい…あっ、いやっ、そんなっ。」


店「あーいいの、いいの、本当の事だしっ
だから新規のお客さん何て珍しくてね。」


「…来てくれるのは、昔っからの常連ばっか
だから、思わず声掛けちゃったのよっ!」


D「…あー、そうなんですねぇ…
こんなに美味しいのに、勿体無いなぁ。」



フーフーと麺を冷ましながら
店主とたわいのない会話をする…



店「…お兄ちゃんの他にもね、 最近
通って来てくれる女の子がいるんだけど。」


「ちょーど、あんたと同じ頃からだったかねぇ
その子も本当に美味しい、美味しいって♪」


D「…………。」




…女の子……?




伏し目がちにしてた、顔をゆっくり上げて
女店主に少し早口で尋ねる。



D「…僕と同じ時期からくるんですか?
時間とか、曜日とかっ……」


店「えっ…ああ…
今日も、ついさっきまで居たけど…」




…え…さっきまで……居た?




「ほらっ」っと



店主が指差した先には



食べ終えた食器と、綺麗に並べられた箸。




…確信が…ある訳じゃない




でも…




俺の心臓は…煩いくらいに



ドクドクと、音を立て始めていた。

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作者名:うずら | 作成日時:2017年4月26日 14時

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