2話 Y 人生終わった。 ページ3
「……終わった。」
いつものカフェの
いつもの席で
テーブルに突っ伏して居た女が1人…
憔悴した様に、
呟いた。
歳の頃は28、
世に言うアラサー真っ只中の……
独身である。
そして、
そんな彼女は
今朝がた
付き合って
今年で5年目になる男の結婚を、
上司の口から、知らされる事と、なったのだ。
『我がマーケティング部のエース
キム ソジュン君が、この度結婚する事になった。』
部長のデスクを囲む様に集められた、
彼女を含む社員達。
部長の横に立つ彼は
どこか照れた様にはにかんで居て、
''えっ！！嘘でしょッ
社内で私に、公開プロポーズなのッ！？''
なんて、
これまで秘密にして来た交際の暴露と
まさかのプロポーズの予感に
彼女は一瞬、
胸を弾ませたのだけれど……
『お相手は、なんとっ
社長の娘さんの、ソヨンさんだそうだ。』
あり得ない様な
その言葉に、
彼女は声を発する事すら、出来なかった。
頭の芯が
冷えて行くのと同時に…
クラクラと軽い眩暈を覚えた。
指先は震え、
妙な緊張に視界が歪んだ。
『あぁ、ソヨンさんっ
さぁ、ソジュン君の隣へどうぞっ』
待ってましたとばかりに現れた彼の花嫁は…
そこが初めから
''自分の居場所''だったかの様に
至極自然に
彼の隣へ、ぴたりと立つと、
とても嬉しそうに、彼と視線を交わらせた。
緩い巻き髪が女らしくて
淡いピンクのモヘアが、良く似合ってる。
可愛らしいネイルの施された細い薬指には……
Ｙ「……ハリーウィンストン。」
小さく溢れた
その声に、
花嫁の彼女は
大きな目をクリンとさせて微笑んだ。
SY「よくご存知ですねっ？」
……ええ、ご存知ですよ。ご存知ですとも。
''ここの指輪は、女の子の憧れよ''
貴女の隣に立つ男に、そう教えたのは…
何を隠そう、この私なのだから。
SY「私は安物でも良かったのに…
彼が、どうしてもって言って聞かなくてっ」
困った様に眉を下げるけど、
その表情は、馬鹿が付くほど幸せそのもので…
薬指で光るその指輪が、
眩しくて、眩しくて…
このままじゃ、
立っている事すら苦しくて…
彼女は、その場から
猛ダッシュで、逃げ出したのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うずら(プロフ) - いつきさん» コメントありがとうございます！何を隠そう、私もいつきさんの大ファンです！本気でいつも読ませて頂いてる作者様なので、テンションかなり上がりました。私もいつきさんの更新楽しみしております！私も喜んで頂ける様に頑張りますね！ (2019年11月27日 1時) (
レス) id: e04ce93e69 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - 凄い好きなタイプのお話です…っ、昔からうずらさんのファンですが、毎回本当にジヨンさんのキャラとかが好き過ぎます…。更新楽しみに待っております！ (2019年11月26日 22時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うずら | 作成日時：2019年11月24日 21時
