42話Y ページ42
いつもより、柔らかいベッドと
少しくすぐったい様な気持ちに包まれて
私は夢の中に落ちて行った……
『ドサッ。』
……ドサッ………⁇
んっ?えっ何⁉何事っ⁉
ハッとして、目を開けると…
見慣れた天井と、壁で微笑むマリア様。
…アーメン…
大きくて、柔らかなベッドで
夢の中に落ちて行ったはずの私は…
小さなシングルベッドから
無残にも冷たい板の間に落ちて、目を覚ました。
なんだ、コレは⁉
嘘っ、夢だったのっ?全部っ?
ベッドから落ちた衝撃と、じんわり痛む背中。
「うぅ〜っ。」
訳のわからない呻き声を上げながら目を閉じる
背中痛い…痛いよっ!
…ああっもうっ‼…なんなっ……
思わず頭に持って行った手がピタっと止まる。
…だよね、そうだよね?夢のはず無いよね?
まだ、少し湿って冷ややかな感触
オデコから、ちょっとズレたそのタオルが
昨日の夜の出来事が、現実だったんだって
またもや、私を思いとどまらせる。
うーん、でも…
…どうやって、ここまで帰って来たんだろ?
ご丁寧にタオルまで、頭に乗っけて?
彼が送ってくれたの?
まあ…家は…知ってるよね?侵入した位だしww
………うーん………
…ちょっ、ちょっと待って。
てゆうか、なんで私はあそこに居たの?
……えっ、おかしいでしょ?
彼の家なんて、もちろん知らない。
熱で朦朧としてたとして…それでも…
無意識になんて、行ける訳がないじゃない…。
…どうなってるの……
やっぱり夢…だった?
ふと、昨日彼が囁いた
『大丈夫。』って言葉が頭の中をよぎる。
優しい彼の声を思い出すと
自然と、顔がほころんでいるのが分かった。
私は床に寝転がったまま
自分の布団をズルズルと引っ張り落とすと
それに鼻先を埋めた。
もちろん…彼の匂いはしなくて…
ほころんでいたはずの
私の顔がゆっくりと表情を変えていく。
昨日の夜の出来事は…
彼の優しい声と手の感触は……
…夢だったっんだろうか…?
久しぶりに感じた
くすぐったい気持ちに、ときめきも?
全部…全部……
やだ…夢じゃないでしょ?
…夢じゃないって、誰か言ってよ……
一体私は…何を見てたの…?
窓の外は…
まだ薄暗くて、とても静かだった。
61人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うずら | 作成日時:2017年5月7日 1時