熱ときどき素直 ページ9
.
ある日の休日、
いつも通りにアバハウスに向かう準備をしていると
スマホに通知音が鳴った。
エイジ熱。もう無理。しんどい
あ。えいちゃん熱なんだ。
そういえばここ最近、咳と鼻水すごかったもんな。
熱がでるまえに病院行きなよって言ったのに。
A薬と材料買って行くね
アバハウスに向かう途中にあるスーパーに寄って、
足早とアバハウスに向かった。
ーガチャッ
いつものように合鍵で鍵を開けて、
玄関に入ると辺りは珍しくしーんとしていた。
『…お邪魔します、』
奥に進んでも誰もいない。
えいちゃんの部屋に向かい、ノックをしても返事がなかった。
『開けるよー?』
そう言って、そーっとドアを開けると
ベッドで横たわるえいちゃんの姿があった。
『えいちゃん?』
寝てるのかな?なんて思っていると
「…やっと来た、」
弱々しい声でそう言って寝返りをしてこっちを向くえいちゃんはしんどそうだった。
『え、大丈夫?とりあえず薬飲もう?』
「ん、」
熱のせいなのかいつもより目がとろんとして、
素直に従う姿に今日はなんだかいつもより可愛くみえる。
『そういえばみんなは?』
「あいつらAが来るから大丈夫だろうって俺残してご飯食べに行った」
なんてまるで怒られた子どものように少ししゅんとする姿に、
え?やっぱなんか今日やけに可愛くない!?
可愛すぎてプッと笑いが込み上がりそうになった(我慢我慢っ!)
『えいちゃん、ご飯まだだよね?』
「うん、食欲はちょっとある」
でもキムチラーメンは食べたくない。と意味分かんないこと言うから周りを見渡してみると、
なぜか食べかけのキムチラーメンが置かれてあった。
『え、なにこれ?』
「さっきまで動画撮ってたから、」
『ええ!』
確かによく見れば、
えいちゃんマスクしてるけど真ん中切っててマスクの意味ないし。
『もうほんとに〜…』
こんな状況で動画なんて、と少し呆れつつ、
でもこんな状況でさえ、
動画撮ろうって思う意欲はさすがえいちゃんだな。
なんて思ったりしてる自分もいた。
『はい、じゃあこれからはもう大人しくしててくださいよ』
そう言って、えいちゃんを再び寝かせて
マスクもちゃんと新しいのに替えてあげると、
しばらくすると薬のせいで眠気が襲ってきたのか、
寝息を立てて眠っていた。
。
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みほ | 作成日時:2019年2月17日 5時