朱に生きる【ONEPIECE】 (ページ3)

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第一章一話ページ3

｢……いってぇな…｣
鋭い痛みを持ち、熱を帯びた右頬を撫でる。
まだ夜が明けていない鈍色の空を見上げながら、一人の女はそう呟いた。

｢…今日も追い払ったが……明日はどう出るか｣
面倒だ、と溜息をつく。

女が住むこの島は、南の海の島々の一つ。町は廃れ、海賊や盗人が彷徨く。南の海屈指の無法地帯。そう南の人々は言う。
女は元々ギャングだった。小さい頃に両親が借金に手を染め、その対価として売り出された。だが、女は強かった。
身体能力に加え、頭の切れる女だった。すぐに幹部へと上り詰め、その名を世に轟かせた。

そのうち組織は壊滅。残党がそれぞれ人の目を掻い潜り、暗闇へと姿を消した。女もまた、その一人だった。

｢ﾁｯ……そろそろ、この島も用無しだな｣
｢早いとこ次の島に行かねぇとな……｣
島の人々に混在する盗人や悪人、海賊達は常に縄張り争いを起こし、まさに一触即発の世界。
女はその中でも名が知られている存在であり、常に身を隠しておかないと生活出来ない状況だった。

｢ここにはもう住めねぇしな……ﾊｧ……｣
｢案外、気に入ってたんだがな…｣

重い腰を持ち上げ、荷物も持たずに女は裏路地から出た。