Again

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〖慎太郎〗


メッセージを送って数分、樹から”いいよ”の返事。
きょもにそのことを伝えようとしたんだけど、
次の講義が大学の敷地内で最も遠い場所だったみたいで
そそくさと席を立って行ってしまった。

喜びを分かち合えないまま、帰宅時間になっていた。
今日はサークルもバイトもないから、
このまま樹のところへ行こうかな、なんて考えて。


「慎太郎？何一人でにやけてんの？笑」


「い、いやぁねぇ。
　樹からの許可が降りて嬉しくない奴いなくない！？」


「えっ！？本当に？」


「マジに決まってんじゃん、笑」


「うわっ、なんか急に緊張してきた。」


「なんでよ、笑」


他愛ない会話にこんなに花が咲いたことあったっけ、
なんて思いながら、その後も続くきょもとの雑談を
楽しんだ。


この大学は凄いことに、徒歩10分弱で病院に着く。
うやむやな気持ちではあるけど、交通費が浮くから
ある意味助かってる。
こんなコト、樹には言えないけど、苦笑


「きょも、そろそろ着くよ。」


「ぅん、」


「え、まさか緊張してんの？笑」


「んなわけないじゃん…」


病院を前に緊張しちゃってんじゃん。
顔もそうだけど、行動にも出ちゃってるよ、きょも。
緊張した時に出る癖でバレバレ。


「ほら、行くよ。」


「…」


ついには話さなくなったきょもだけど、
それなりに決意を固めてここに来たんだろうなって思うと
俺も半端な考えじゃいられないぞ、と自分を鼓舞した。

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