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仕事が終わって、
冷蔵庫が空っぽだったから、
軽く買い物をして家までの道を歩く。
今日は裕太、晩ご飯いるのかな。
何にしようかなぁ。
レシピ検索しようとケータイを取り出すと、
ちょうど裕太からの着信。
｢もしもし、裕太？
もう家にいる？｣
『Aちゃんいまどこ？！』
｢今？
もうマンションのエントランス入るとこだけど｣
『だめ！駅まで戻って！』
｢え？なんで？｣
聞き返すと同時に通話が切れた。
へんな裕太。
散らかしっぱなしで出掛けちゃったとか？
いつものことじゃん。
｢あの｣
エントランスでエレベーターを待ってると
若い女の子に話しかけられた。
｢はい？どうかしました？｣
｢………………………ですか｣
下を向いて喋ってて、よく聞こえない。
｢ごめんなさい、
もう１回言ってもらえますか？｣
｢………た、……たまもりくんの……彼女ですか｣
｢裕太の？違いますけど…｣
思い出した。
このキャップ。
朝、エレベーターで一緒になった子だ。
｢一緒に…住んでますよね｣
｢事情があって、今だけですよ。
何か裕太に用ですか？｣
言いながら思い出した。
裕太、ストーカーにあってるって言ってた。
もしかして、この子…？！
｢ずるい………たまもりくん…
ゆうたゆうたって、……｣
｢あの、ごめんなさい。
ここに裕太はいませんよ｣
｢あんたさえ………いなければっ、｣
どうしよう、怖い。
助けて。
宏光！
｢きゃっ………｣
掴みかかってきた女の子を、
受け止めたのは裕太だった。
｢ゆう、た…｣
足が震えてその場に座り込んでしまう。
｢た、たまもりくん……｣
｢お前、いい加減にしろよ。
次同じ事したら警察呼ぶからな｣
｢ご、ごめ、なさい｣
女の子は、我に帰ったように動揺して
走って逃げていった。
｢Aちゃん…ごめんね、怖かったね｣
まだ立てずにいる私を抱きしめて、
息が上がっている裕太。
走って来てくれたんだろう。
｢だいじょ…ぶ｣
瞬きしたら我慢していた涙が零れてしまった。
｢ほんとごめん。
俺のせいで変な事巻き込んじゃって｣
ううんって、首を振る。
｢さっき、ここ通りかかったマネージャーがアイツ見たって言ってたから、嫌な予感して。でも、間に合わなかった｣
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作者名：mayumitsu
| 作成日時：2018年9月4日 7時
