113 溢れてしまったんだ ページ22
─相葉side─
『Aちゃん、ぜってーおいらに会いに来てくれない。』
『大野先生のことは忘れません。』
出来たオムライスを運んだ時に聞こえてしまった
“会いに来てくれない”って？
“大野先生”って？
“忘れません”って？
オレの心がざわついてる。
オレの知らないAちゃん
そりゃ知らないのは当たり前
だってオレとAちゃんはただの
『クラスメイト』
『バイト仲間』
それ以上は関係ない間柄
『関係ない』
ってなんだよ……
自分で自身に刃を向けてしまったような
勝手に傷ついて落ち込んでる
そうだよな
住む世界が違うんだ
この前まざまざと見せつけられたのに
またオレはいきがって、調子乗って……
バイトが終わって
Aちゃんと外へ出て
当然のように二人で駅へと歩く
「今日も忙しかったね。」
なんて話かけてくれるAちゃんに
オレはただ
「そうだね。」
としか言えなくて。
駅のホームに着いたら
ちょうど電車がくるところ
ああ、よかった
「ちょうど良かったね。」
って言ったあとに
まるでAちゃんと一刻も早く別れたいような言い方だなんてまた落ち込む
『あいつ』がくるまでAちゃんと一緒に居られることが嬉しかったはずなのに。
電車がホームに入ってきて止まる
降りる人を待って一緒に乗り込む
いつもより言葉少なめなオレに気付いたのか
Aちゃんは
「疲れちゃってるね。まだ病み上がりなんだから無理しちゃ駄目だよ。」
って心配そうにオレの顔色をうかがう
「Aちゃん……。」
「ん？なに？」
「……。何でもない……。」
─そんな顔でオレを見つめないでよ─
そんな顔みたらオレは……
この気持ちが溢れ出してしまわないように
必死に飲み込もうとしてる
君の降りる駅が近付いて
電車が減速をした
つり革につかまった手に力が入る
ドアが開いて
「じゃあまたね。」
って言った君の『またね』が
また君への想いを
繰り返し繰り返し
この先ずっとこうして飲み込んで
抑えていくんだと言われたようで
気付いたら
後を追って電車を降りて
君の手を捕まえてた
それに驚いている君にオレは
「好きだ。……Aちゃんのことが好き。」
胸のずっと奥の方から出た言葉。
溢れてしまったんだ。
電車のドアが閉まって
ゆっくりと動き出す
だけど
そこだけ時が止まってしまったかのように
二人は微動だにしなかった。
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ゆいねごと(プロフ) - sky57421970さん» コメントありがとうございます！読んで下さってる方の感想をきく機会がなかなかありませんので、とても嬉しいです。更新スピードは遅くて心苦しいですが、より楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2019年2月23日 22時) (
レス) id: 2da354f69e (このIDを非表示/違反報告)
sky57421970(プロフ) - 初めまして。更新されるのを楽しみに待ってます。物語の展開が色々と変わるのでわくわくしながら読ませていただいています。これからも応援しています。 (2019年2月23日 6時) (レス) id: 19356e08eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年9月14日 11時
