121 君への誠実 ページ30
じゃあ少しだけ。
と受け入れてくれた相葉君と向かったのは
人気の無い実習室。
しんと静まり返った実習室に改めて向き合うと緊張して胸が苦しくなってくる
「あ、あの、昨日のこと………ごめんなさい
私───
「なんで謝るの？
Aちゃんは何も悪いことしてないよ。」
どこか冷めたように私の謝罪に彼はそう応えた
「で、でも私、相葉君に何も言わずに行っちゃったし……。」
「俺が勝手に送った。ただそれだけ。
あ、もしかして昨日、駅で俺が言ったことの返事が『ごめん』？」
そう言って相葉君は乾いた笑顔を見せた。
「それなら、俺の方が謝んなくちゃいけないよね、ごめん。
Aちゃんが俺とは違う世界の人間なんだって気付いてた……けど何かあの時、黙っていようって思ってたのに、気付いたらコクっちゃってて……俺、後先考えずに突っ走っちゃうから(笑)。
Aちゃん困らせるつもりなかったんだ、ほんとごめんね。」
「ううん、私ね───」
私は今までの自分について話した。
事故に遭って記憶喪失になったことや
自分をとりもどす為に今の学校に通い始めたこと
それを話すことが私の相葉君への誠実だと思ったから。
相葉君は信じられないというような表情をしながらも真剣に聞いてくれた。
「──こんなこと言うとおかしいと思われるかもしれないけど、ずっとどこか違う世界に迷い込んでしまったような、そんな気がして、自分が何者か分からないまま、宙ぶらりんで生きてきた。
今こうして新しい生活の中で、アルバイトしたり、一人暮らしで料理とか掃除とかしたりして、少しずつだけど自分らしくやってるって思えるようになってきたの。
きっとそれは相葉君に入学した時に話しかけてもらったりアルバイト紹介してもらったりしなかったら無かった今だと思ってる。
本当にありがとう、相葉君。」
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ゆいねごと(プロフ) - sky57421970さん» コメントありがとうございます！読んで下さってる方の感想をきく機会がなかなかありませんので、とても嬉しいです。更新スピードは遅くて心苦しいですが、より楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2019年2月23日 22時) (
レス) id: 2da354f69e (このIDを非表示/違反報告)
sky57421970(プロフ) - 初めまして。更新されるのを楽しみに待ってます。物語の展開が色々と変わるのでわくわくしながら読ませていただいています。これからも応援しています。 (2019年2月23日 6時) (レス) id: 19356e08eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年9月14日 11時
