88 計画 ページ39
クローゼットから選びとった一番地味なワンピースを着て
何故か使っているメーカーの化粧品もパウダールームに置かれていたから、軽くメイクを施して
リビングの扉を開けると
松本さんはスマホで誰かと話している最中で
目だけをこちらに向け
既に運ばれてきていた食事に目線を移し
『先に食べてろ』的な顔をした
それでも先に食べるのも気が引けるから
ダイニングの椅子に座って待つことにする
「はい、では──。」
松本さんが話を切り上げてこちらに来た
「なんだ、先に食べててよかったのに。」
待っていた私にそう言うと
「シャンパン飲むよね？」
と私の返事を待たずにグラスに注いだ
「とりあえず、『今日に』かんぱーい！」
やけにニコニコ顔な松本さんが
勝手に乾杯をするのにつられて慌ててグラスを合わせたものの
私は一体何に乾杯なんだろうと考える
パーティーに出て、私の意思と関係なくここに連れてこられたのに……
「早く食べれば？」
思いに耽っている私を余所に松本さんは食べ始めている
仕方なく自分も食べ始めたけど
やっぱり気になって手を止める。
「松本さんの中では、私をここに連れてくることは始めから決めていたことですよね？
クローゼットの服も
……その……バスルームの下着とか……私にピッタリだったし……
私との『約束』が櫻井さんと別れることなんて急に言われても理解出来ないし、
正直、人の恋愛関係に口を挟むこと自体が可笑しなことだし……
一体松本さんは何者なんですか？」
もうどうにでもなれ、という感じで思い切って今までのモヤモヤを吐き出した。
すると松本さんはブッと吹き出し
「『何者』って。
それに下着がピッタリって報告も
わざわざありがと(笑)。」
「真剣に聞いて下さいっ！
私からしたら、急に「連れ去る」って、理由も分からず連れてこられた先に私ピッタリの服や下着が用意されてたら、不審に思うのは当たり前です。」
「まあ、そりゃそうだよな(笑)
クククッ、まあ俺がAの下着用意したって言ったら
確かに『ヘンタイ』な域だよな(笑)。
まあ、言ったと思うけどAが『約束』を守ったから俺もそれなりのことをしたまで
確かにパーティー会場から連れ去るのもここに連れてくることも計画の上だ。
……ただし、
俺一人の計画ではないけどな。」
松本さんが腕時計を見ながらそう言った。
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ゆいねごと(プロフ) - りこさん» ありがとうございます！最近忙しくてなかなか更新できませんが、少しずつでもがんばりますね！ (2018年3月23日 23時) (
レス) id: ef6567bd44 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 楽しんでよんでます！更新がんばってください!!応援してます！ (2018年3月22日 23時) (レス) id: bbbe789c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年2月5日 11時
