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あれからずっと櫻井さんの隣で
関係者との挨拶をした。
「ご婚約おめでとうございます。」
と言われる度に無理に笑った顔がひきつる。
とにかく逃げ出したかった。
しばらくたって
『お父様』と『お母様』が近づいてきて
「櫻井くん、ちょっと私と一緒に来てくれないか、紹介したい人がいるんだ。
Aは、少し休憩しなさい。」
と『お父様』に言われて
櫻井さんが両親と共に取引先の重役に挨拶に行くのを見送って
解放された気持ちで会場を出た。
「ふぅ。」
気が張っていたのかため息を一つすると、後ろから
「慣れないことして疲れた？」
と聞き覚えのある声がした。
振り返ると艶やかなブラックスーツを着こなして壁に寄りかかったままこちらを見る松本さん。
赤い蝶ネクタイが映えるのは松本さんだから？
松本さんは私の側までくると
「ちょっと夜風に当たって休もうか。」
と半ば強引に私の腰を抱いてエスコートする。
「えっ……。」
「少しだけ。ね？」
私の意思など気にもせず松本さんは歩きだした。
でも
連れて来られたのは控え室のバルコニーじゃなくて
ホテルのエントランス。
そのまま正面につけられた高級車に誘導され
助手席のドアを開けて
「ほらほら、早く乗って！」
と私を急かす。
「な、なんで……？」
「ほら、早く乗らないと他のお客様に迷惑になるだろ？」
と松本さんは私の耳元で囁く
それもそうかな？
確かにこんなエントランスの真ん中にいつまでも駐車していたら迷惑になってしまう。
松本さんが意図することかわからないまま
その場をどうにかしようと考える間もなく
私は車に乗った。
松本さんは助手席のドアをバタンと閉めて運転席に乗り込むと
「ほら、早くシートベルト締めて！」
と、ドレス姿でもたついてる私のシートベルトを運転席側から手を伸ばして締めてくれて
素早く蝶ネクタイとシャツのボタンを外し首もとを緩めると
自らもシートベルトを締めエンジンをかける
それから
バックミラーやサイドミラーで
車の外の様子を伺い
人気がないのを確めると
私に向き直って
「何だか映画のような話なんだけどさ。
今からAを連れ去るから。」
とニヤリと笑って
アクセルを踏み込んだ。
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ゆいねごと(プロフ) - りこさん» ありがとうございます！最近忙しくてなかなか更新できませんが、少しずつでもがんばりますね！ (2018年3月23日 23時) (
レス) id: ef6567bd44 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 楽しんでよんでます！更新がんばってください!!応援してます！ (2018年3月22日 23時) (レス) id: bbbe789c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年2月5日 11時
