80 赤い薔薇 ページ31
車が会場である高級ホテルのエントランスに入る
素早くドアマンがドアを開けてくれて
私と『お母様』が車から降りると
総支配人とおぼしき人が寄ってきて挨拶も早々に『お母様』とどこかへ行ってしまった。
「A様はこちらへ。」
スマートな立ち振舞いの女性に連れられてやってきたのは
メイクルーム。
目の前に飾られた赤いイブニングドレスが目をひく
大胆に開けられたデコルテ部分で大人っぽさをを持たせつつ、ウエストには大きなリボンがあしらわれ可愛さもある
「さあ、こちらへ。」
とスタッフの方に促され
あれよあれよという間に着替えさせられて
大きな鏡の前で四人がかりでメイクやヘアセットが施される
全ての支度が終わった時には
私は私ではなくなっていた。
ふわふわした感じのまま通された控え室
そこには
完璧としか言い様がないくらい着飾った『お母様』と
仕立ての良いグレーのタキシードに身を包んだ
……櫻井さん。
「あら！Aちゃん！素敵じゃないの！
やっぱり、私の見立ても間違ってなかったわね！」
『お母様』が戸惑う私の手をひいて櫻井さんの横に立たせると
「A、とても綺麗だ。」
と櫻井さんはにこやかに笑って見せた。
きっと『お母様』は櫻井さんに都合の良いように言われてすっかりその気になってしまっているんだ。
それは櫻井さんの左胸に付けられた私のドレスと合わせただろう赤い薔薇のブートニアがもの語っていた。
『お母様』がドレスのことを延々話始めると
隣にいる櫻井さんが私だけにしか聞こえない声で囁いた
「『お母様』を丸め込むのなんて簡単だな(笑)。」
そうやって包囲網が築かれて
私はどう足掻いても逃げられなくなっていくんだ。
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ゆいねごと(プロフ) - りこさん» ありがとうございます！最近忙しくてなかなか更新できませんが、少しずつでもがんばりますね！ (2018年3月23日 23時) (
レス) id: ef6567bd44 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 楽しんでよんでます！更新がんばってください!!応援してます！ (2018年3月22日 23時) (レス) id: bbbe789c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年2月5日 11時
