69 ごめんね『私』 ページ20
するりと
バスローブの袖を通す。
「……だったら。
貴方ももっと上手く隠し通してくだされば良かったのに。」
そう言って静かにその場を立つと
櫻井さんと目線がからむ。
━━なんでこの人は感情のない顔をしているのだろう━━
━━端や私はバスローブ１枚の姿で何言ってるの━━
━━ましてやさっきまで抱き合っていたのに━━
客観的に見たら何だか凄く可笑しく思えてきて
思わず小さく吹き出してしまう
それでも表情一つ変えずに私を見る櫻井さん。
私は、はぁと一呼吸置いて
「今まで気を使って頂きありがとうございました。
もう、辞めにしませんか？
私たちこのままでは
結婚しても幸せになれませんよ？
事故にあって私
未だに記憶が戻らないですし
以前の私と櫻井さんがどういうお付き合いをされていたかは分かりませんが
以前の私ももしかしたら気付いていたことかもしれません
『本当の恋人』ではないことを。
あっ、大丈夫です
もちろん、貴方の独立にあたってのお手伝いは今まで通りいたしますから。
だから。
貴方はかえるべきところにかえってください。」
ペコリとお辞儀をする
私なりの身の振り方。
一瞬櫻井さんは哀しげな表情をして。
何も言わず
踵を返して部屋を出て行った。
しばらくその場に立ち尽くしていたけど
ブルッと寒さを感じて
バスルームに向かう。
バスローブを脱いで
洗面台の鏡を見ると
幾つかの紅の跡。
「ごめんね『私』。別れちゃったよ。」
そう呟いて
頭から熱いシャワーを浴びた。
なんの感情もない
涙も出ない
『お父様』と『お母様』に何て言おう？
そのくらい。
ホテルの部屋を出て
フロントでチェックアウトをする。
「お会計は済んでおります。」
と言われて。
ああ、終わったんだ。
と理解した。
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ゆいねごと(プロフ) - りこさん» ありがとうございます！最近忙しくてなかなか更新できませんが、少しずつでもがんばりますね！ (2018年3月23日 23時) (
レス) id: ef6567bd44 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 楽しんでよんでます！更新がんばってください!!応援してます！ (2018年3月22日 23時) (レス) id: bbbe789c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2018年2月5日 11時
